首都直下M7.3巨大地震あなたと家族が生き残る、たった「五つのルール」「死者2万3000人」の政府シミュレーションは甘すぎる

週刊現代 プロフィール

朝夕、のべ8400万人近い人々が通勤・通学で移動し、連日スポーツの試合や音楽のライブが行われている首都圏の被害想定としては確かに楽観的すぎる。

元土木学会会長で液状化現象に詳しい濱田政則・早稲田大学理工学部教授も新想定には疑問を投げかける。

「役所の縦割り行政の弊害とも言えるでしょうが、今回の新想定には経産省が主導して進めてきた、湾岸部の液状化に関する大規模な調査の結果が、まったく反映されていない。

被害が最大になるのは都心南部直下のM7・3地震というけれども、そうなると川崎周辺に広がる古いコンビナート地帯が大きな打撃を受ける。その地域のデータを盛り込まないで、被害が見積もれるはずがない」

3・11では千葉県で液化石油ガスのタンク火災事故が発生。爆発・炎上したタンクの破片は現場から4km離れた住宅街近くでも見つかった。幸い人的被害はなかったものの、次に来る首都直下地震でも被害が出ないとは言い切れない。

さらに濱田氏は、首都直下地震の被害想定の甘さを、こう指摘する。

「たとえば、江戸時代以前は『日比谷入江』と呼ばれていた、大手町、日比谷から新橋付近、つまり東京の中心街でも、液状化現象が起こる可能性は十分にある。古い埋め立て地なら土地が締め固まって、強固になるという説もありますが、科学的には証明されていない。高層ビルの基礎の杭は地下の岩盤まで届いているため影響が少ないにしても、上下水道やガス、電気・通信などのインフラ設備は地下の浅いところを通っている。そう簡単に復旧できると考えていては甘い」

計算されていない死者の数

さらに、首都圏に無数に存在する高層建築物についても、新想定にはいくつもの「穴」がある。

たとえば、前出の河田氏は次のように指摘する。

「ビルや地下鉄の駅などには、距離の長いエスカレーターがありますね。あれが揺さぶられたとき、乗っている人が一人でも転倒したら、ドミノ倒しで多くの人が巻き込まれる。それがどのくらいになるのか。試算されていないリスクがたくさんある。

首都圏には高さ60m以上の超高層ビルが1600棟以上ありますが、そこで起こる特殊な状況も検討し尽くされているとは言い難い」

都市防災が専門のまちづくり計画研究所所長・渡辺実氏も、こう警告する。

「今回の想定では、首都圏の真下だけでなく、相模トラフや房総沖など、首都に近いエリアで起こる海溝型の地震も検討されています。