[サッカー]
田崎健太「きっかけはアベランジェ ~伝説の代理人vol.1~」

スポーツコミュニケーションズ

ある男に会えなかった後悔

FIFA本部のあるスイスのチューリッヒへも訪れた

 そんな体験もしながら、ブラジルの他、ドイツ、イタリア、スイス、スウェーデンと世界を駆け回って取材し『W杯ビジネス30年戦争』を書き上げた。最後は新潮社に隣接する旅館に泊まり込み、原稿を仕上げた。校了紙を担当編集者へ渡したとき、ぼくはふらふらになっていた。

 書き上げた満足感はなかった。もやもやした気分だった。題材との格闘に負けなかったが、勝てたという実感もなかった。

 心残りの一つは、ある人物に話を聞けなかったことだ。

 取材の中でその男にまつわる話は何度も出ていた。
<アベランジェの金庫番>
<ブラジルと世界のサッカーの闇を知る男>
<世界で最初のサッカー代理人>

 男の名前はエリアス・ザクーと言った。ブラジルの古いジャーナリストにザクーに話を聞けないかと相談すると「無理だよ」と首を振った。ザクーは人前に出るのを嫌い、全く取材を受けていなかったのだ。

(つづく)

■田崎健太(たざき・けんた)
 ノンフィクション作家。1968年3月13日京都市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。著書に『cuba ユーウツな楽園』 (アミューズブックス)、『此処ではない何処かへ 広山望の挑戦』 (幻冬舎)、『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』 (講談社プラスα文庫)、『W杯ビジネス30年戦争』 (新潮社)、『楽天が巨人に勝つ日−スポーツビジネス下克上−』 (学研新書)、『W杯に群がる男たち—巨大サッカービジネスの闇—』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克 英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)。最新刊は『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)。早稲田大学講師として『スポーツジャーナリズム論』『実践スポーツジャーナリズム演習』を担当。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。携帯サイト『二宮清純.com』にて「65億人のフットボール」を好評連載中(毎月5日更新)。
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