「大寒波」「デフレ」そして「人工知能」という米極秘戦略

〔PHOTO〕Getty Images

北半球の一部の地域で進む猛烈な寒冷化

年末から年初にかけて中西部を中心に米国に大寒波が到来している。「生命に対する脅威(life-threatening)」という言葉すら聞こえて来ているのだから尋常ではない。

しかもこの大寒波は一過性のものかと思いきや、どうやらそうではなさそうなのだ。私の研究所の公式メールマガジンにおいても取り上げたのだが、米国内外の気象学者たちの間ではここに来て「北極圏における"温暖化"が北米における"寒冷化"を招いている」という説が最有力になりつつある。

「なぜそんなことが言えるのか。北極圏と北米は確かに隣同士だが全く異なる地域のはず。片方が温かくなると、もう片方が寒くなるなどということがあり得るのか」

こんな声が聞こえてきそうだが、このことを理解するには私たちの社会、地球全体、さらには宇宙に至るまで共通の原理・原則をまずは押さえておく必要がある。それは「ル・シャトリエの原理」、またの名を「復元力の原則」というものである。

化学の世界では知らぬ者のいないこの原理をとても簡潔に説明するとこういうことになる(私の英語公式ブログでは詳しく説明しているのでご関心があれば参照願いたい):

●人間界から宇宙に至るまで、森羅万象は全て「平衡系」で構成されている。つまり放っておくと何事もまっすぐに推移していく

●ところがそこに何らかの理由で一方向への力が加えられたとする。これを「作用」と呼ぶことにすると、「平衡系」は元に戻ろうとしてこれと同じだけの力を逆向きに働かせるのである。このことを「反作用」と呼ぶ

このことを地球の気候に当てはめてみよう。例えば我が国を含む北半球が「夏」で暑い時、南半球は「冬」であり、寒いのである。その結果、地球全体としては「平衡系」が保たれているというわけなのだ。その限りにおいて地球上のどこかが寒くなることの反射的効果として、別の地域が温かくなったとしても、それ自体は不思議なことではない。

だが今回の「大寒波」で摩訶不思議なのは、隣同士であり、本来ならば同じ時期に寒くなるはずの北極圏と北米が正反対の気候に見舞われているという点である。その意味で現在、米国が見舞われている状況は正に異常と言わざるを得ない。

しかもこうした形の明らかな異常としての「大寒波」による被害を受けて来ているのは北米だけではない。欧州においてもそうなのであって、この数年、明らかに異常な寒さに見舞われてきたのである。

こうした現象が生じることの「原因」は明らかになっていない。「太陽における磁極の転換が理由だ」とする説から始まり、「暖かい海流がどういうわけか北大西洋で折り返さなくなったので寒くなったのだ」という説に至るまで諸説入り乱れての議論となっている。だが一つだけ言えるのは、「確かに何かが変であり、北半球の一部の地域では猛烈な寒冷化が進んでいる」ということなのだ。

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