産油国ナイジェリアの新都市開発"エコ・アトランティック・シティ"

ラゴス中心部アパパ地区の街並み(写真はすべて筆者提供)

文/ 石田和靖株式会社ザ・スリービー代表取締役)

カーボン・ニュートラルは避けて通れない道

昨年夏、西アフリカの大国ナイジェリアを訪問した。ナイジェリアも前回の記事に書いた産油国バナナラインの一角であり、カーボン・ニュートラルの巨大都市構想構想が進んでいる国のひとつだ。そんなナイジェリアはエネルギー消費量がものすごい勢いで急増中で、一日に何度も停電を起こすため、多くの建物は自家発電装置を設置している。

急成長する1億6000万人の国、急増する富裕層たちとそのスケール。一晩にして一瞬に億万長者に変わってしまう"オーバーナイトビリオネア"。これは今のナイジェリアを象徴するひとつのワードだ。昨日までパイプラインを壊していた人物が、今日はプライベートジェットの生活を送っている。とにかく見るものすべて、何もかもがダイナミックで、それはそれはものすごい世界を垣間見た。この国を一言で表現するのは難しいが、ナイジェリアの最大都市ラゴスをあえて二言で言うと、「ダイナミック(動的)」と「ダイバシティ(多様性)」だろう。

これまで色々な国に出かけたが、これほどまでのダイナミズムと多様性を表現している都市はほかに知らない。ラゴスはナイジェリア国内のみならず、アフリカ中からナイジェリアンドリームを求めてこの地にやってくる人々で溢れている。巨大貿易港と西アフリカの金融センターとして稼動するこの大都市に来れば、仕事があり夢があり、明日の億万長者を目指せると誰もが信じているからだ。

彼らが動かすビジネスは非常にダイナミックだ。そのスピード感にも驚いた。初めて出会ったナイジェリア人同士が、5分後にビジネス成立して握手を交わし、目の前で札束のレンガを受渡す。そんな光景を何度か目にしたが、こういったことはここラゴスでは日常茶飯事のようだ。経済の現場では、1分1秒がもの凄く大きく動いている。

アパパ地区の金融街

ラゴスはもともと英国によって、人口300万人の南アフリカのケープタウン規模を想定して作られた街だ。人口300万人規模の都市インフラに、現在では1000万人を超える人々が居住している。

人口増加率、失業率、犯罪率、いずれもアフリカ屈指の大都市だ。予想を超える猛スピードの人口増加と経済成長により都市インフラは完全にマヒ状態。交通渋滞は世界最悪だし、住宅不足に電力不足等、様々な問題を抱えているため、「サスティナブル(持続継続性)」はこの国にとって大きなテーマの一つだ。だからカーボン・ニュートラルは避けては通れない。

ラゴス都市圏は、ラゴスラグーンと呼ばれるギニア湾から注ぎ込まれる大きなラグーン(海水湖)があり、そのラグーンを取り囲むいくつもの島と、メインランド(アフリカ大陸)ラゴスとの、大きく2つに分かれる。高層ビルなどが立ち並ぶラゴスの都市部は、ビクトリア島、ラゴス島、イコイ島、バナナ島などと呼ばれるラグーンの南側に集中する島の部分だ。特にビクトリア島はいまのラゴスを象徴するような大都市で、多くのナイジェリア人がここに家を建てここに仕事を持つことを夢と誇りにしている。

よく治安が悪いと言われるが、治安が悪いのはスラム街が無造作に広がるメインランドラゴスと呼ばれる地区だ。このスラム地区とその近辺は凶悪犯罪も多く治安が悪いため、アイランド側に居住する地元のナイジェリア人も近寄らない。それに対し、ビクトリア島、ラゴス島、イコイ島などの地区は非常に治安がよい。中間層・富裕層も多く住むエリアで、ビジネス街でもあり、場所によってはまるで香港のような景色で驚いた。

一口に「ラゴス」と言っても、メインランド・ラゴスとアイランド・ラゴスの2地域は景色が大きく異なり、今後数年以内に、さらにその格差は拡がることとなる。

エコ・アトランティック・シティの埋め立て完了部分
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