「コミュニティ・オーガナイジング」を通じて、一人ひとりが社会変革の主役となるには ~マーシャル・ガンツ博士 特別講義

佐藤 慶一 プロフィール
左から米倉氏、ガンツ氏、嶋田氏、鎌田氏

「日本でも希望を持てる社会づくりをしていきたい」

講演後には、ガンツ氏に加え、米倉誠一郎氏、鎌田華乃子氏、嶋田賢和氏の3名を交えたパネルディスカッションが行われ、日本におけるリーダーシップと市民による社会変革の課題、日本における「コミュニティ・オーガナイジング」の実践や展望などが議論された。発言の一部を紹介する。

実際にワークショップも体験した岩手県釜石市副市長の嶋田氏は次のように感想を語った。

「頭を使って疲れたが、チームで合意形成してアウトプットしていくことがとても有意義だった。これまでの復興はプロジェクトを前に進めるというマインドで、市民や他の人のことをしっかりと考えていないこともあったので、コミュニティ・オーガナイジングの手法を釜石市における復興やまちづくりに生かしていきたい」

また、鎌田氏は、ガンツ氏のもとで「コミュニティ・オーガナイジング」を学び、これから日本で普及活動をする背景について、経験をふまえて以下のように述べた。

「11年間会社員をしてきて、企業の力で社会を変えたいと思っていた。しかし、企業ではなく、一人ひとりの行動やビジョンが変えていくのだと感じた。日本を見ると、主体性を持って社会を変えていくことについてあきらめ感を持っている感じがした。

日本の会社員は元気がなく、本当の問題を言えていない印象がある。企業活動は一人ひとりが元気にやっているからこそ、社会を変えるのだと思う。一方で、自分の人生を生きる方法の一つとして、その中に社会変革もあると考えている。日本でも希望を持てる社会づくりをしていきたい」

また、これからの社会像についてガンツ氏は「ヘルシーな社会にはバランスが必要。パワーの集中している一極社会はヘルシーでない。集中しないように市民自ら動いていく必要がある」と語った。

ヘルシーな社会、コミュニティのバランスが求められる東北について「誰もグランドデザインを描いていない現状について復興を担う市として何を感じているか」と米倉氏から問いかけられると、嶋田氏は以下のように返答した。

「バランスとらなきゃと思う一方で、これから生きていける地方都市はどのようなものかを考えている。将来世代にもコストが残ることが理解されることで、上の世代も議論するようになってきている」

それを受け、米倉氏は「次の産業や今後地方都市がきちんと存続できるようにするためには、みんなでアイデアを出し合って、活力あるコミュニティを創っていくことが重要。ただし、過剰な行政介入がマーケットを歪めたり、民間の新しい芽を摘まないことが大事」と提言した。

また、米倉氏が「今後、どのようにコミュニティ・オーガナイジングを広めていくのか」と問うと、鎌田氏は「現在、日本では教えられる人がいないため、まずは教え る人を増やしていく。そしてワークショップを全国で展開し、日本流のコミュニティ・オーガナイジングにしていきたい」と今後の展望についても明かした。