本書で「ダライ・ラマ法王がおっしゃるように、心に目を向けることで、経済という人の営みへの理解を深めていきたい。経済を突き動かす人の心がわかってこそ、経済学を人の幸せへとつなげることができる」と書いている池上彰さん。
第1回に続き第2回はお金、物質的価値について抜粋する。(新刊『これからの日本、経済より大切なこと』より一部抜粋)
●お金の重要性(ダライ・ラマ法王14世)
確かにお金はよいものですし、私たちの人生にとって重要なものです。
現代では、お金なしに生きることはできません。日常生活を考えてみても、まったくお金なしに日々を生き抜くことは、不可能です。従って、お金の重要性を改めて問う必要もないでしょう。
しかしながら、お金をまるで神のように考えたり、お金そのものに力が宿っていると考えるのは間違っているように思います。お金が全てだとか、必要なものはお金さえあれば手に入れたり達成したりできるとか、私たちが抱えている問題はお金で解決できるとか、そんなふうに考えるのも、もちろん間違っています。
私はこんなふうに考えています。この世の幸福を楽しむために、一番に優先すべきことは、精神と心の平安を得ることです。二番目が健康、三番目に真実の友人、そして最後に富、の順番です。
(62ページ)
『これからの日本、経済より大切なこと』
著者= 池上彰、ダライ・ラマ法王14世
飛鳥新社刊 / 定価1365円(税込み)
◎内容紹介◎
さまざまな問題が立ちはだかる現在の日本。
混迷の時代を生き抜くヒントを
ダライ・ラマ法王14世の言葉から探ります。
それを受けて池上 彰が解説。
経済成長を経た今、必要なものは何か?
池上 彰とダライ・ラマ法王14世がおくる、
日本を元気にする処方箋。