長谷川: 日本は少しは変わったような気がしますか?
原: 去年と比べれば、ずいぶんムードは変わっていると思います。経済的に見れば、これは全世界的にそうですが、株式とか土地の値段が上がっていますから、資産効果は出ています。
そういう点では変わっているけれども、実質賃金が上がるかどうかという根本的なところはこれからです。安倍政権だけの話ではなく、オバマ政権からEU諸国の政権も含めて、こういう金融主導型の経済が是認されるかどうかというのが大きな曲がり角だと思いますね。前から言っているようにウォールストリート主導の経済が続くと世界も地球もいずれ破壊されます。
長谷川: 私が仄聞している限りでも、ハーバードとかスタンフォードとか、ビジネススクール出身者が金融業界に行く窓口がすごく狭まっています。金融業界自体がシュリンクしていてビジネススクールの採用もすごく絞っている。
原: 金融に限らず、あらゆる産業がそうですよ。金融が減ったからといって製造が増えたかというとそうではない。ITもそうですよ。全体として失業率があんまり下がっていないのです。
それから、金融に関しては、トップ層1%が占める資産の額がアメリカの総資産の33%に当たるとか、その比率はずっと増え続けています。金融業に働く人々が過度の富の独占をしている傾向はちっとも減っていません。トップの給料も株価連動方式で報酬が払われるので全然減っていない。増えていますよ。