[陸上]
白戸太朗「進化し続けるランニングイベント」

スポーツコミュニケーションズ

様々な形態のランイベントが増加

 グループでリレーする形のランイベントも増えた、いわゆる「駅伝」だが、従来のようなきっちりと決められたものではなく、距離や形にこだわらず、グループで自由に楽しむスタイルだ。これなら仲間と気軽に参加できる。また、周回コースで行うものも増え、チーム内で自由に交替できるようにすることで、チーム内の実力差をカバーし合えるような大会も増えている。

 ただ走るだけでなく、その途中で何か別のことをするようなタイプの大会も増えている。「ウォリアーダッシュ」というアメリカ生まれのイベントは、途中に泥の池や、ネットなど障害物を越えて進んでいく。いわゆる大人の障害物競走といった感じで、世界的にも人気を博している。またここ数年、急激に伸びてきたのは「カラーラン」だ。コースの途中に、コーンスターチでできたペンキが噴出していて、参加者はそこを通るたびに色がついていく。白いTシャツを着てスタートし、様々な色に染まっていくプロセスを楽しもうというもので、全米で人気を呼んでおり、来年にはいよいよ日本にも進出上陸する予定だ。

ダイヤモンドヘッドをバックに走るホノルルの参加者たち

 このように、少し前なら、マジメに走っている人に怒られそうな柔軟なイベントが増加し、新しい層へのアプローチに成功している。これはスポーツとして正しい進化ではないかと思う。現状では、既存の形にこだわり過ぎて、スポーツとして広がっていない種目もある。時代の流れで人々の趣向が変化している中、スポーツは変わらなくていいのか。

 もちろん、根底にある楽しみ、スピリットは変化してはならないが、それを楽しむ手段や形は変化していいはずだ。また、日本においては人口減少、高齢化は避けられない。その中でスポーツとして愛されていくには、門戸を広げていかないと、愛好者人口が減り、その競技自体が衰退していくことになる。20年先も、そのスポーツを皆に楽しんでもらうには「進化」が必要なのだ。

 そういう意味ではランイベントの進化は、時代が求めたもので、正しい姿なのかもしれない。走る人が増えることは、結果として、よりランニングという競技を理解してもらうことになるのだから。他のスポーツも見習うべきポイントがあるのではないか。

<白戸太朗(しらと・たろう)プロフィール>
 スポーツナビゲーター&プロトライアスリート。日本人として最初にトライアスロンワールドカップを転戦し、その後はアイアンマン(ロングディスタンス)へ転向、息の長い活動を続ける。近年はアドベンチャーレースへも積極的に参加、世界中を転戦していた。スカイパーフェクTV(J Sports)のレギュラーキャスターをつとめるなど、スポーツを多角的に説くナビゲータとして活躍中。08年11月、トライアスロンを国内に普及、発展させていくための新会社「株式会社アスロニア」の代表取締役に就任。今年1月に石田淳氏との共著で『挫けない力 逆境に負けないセルフマネジメント術』(清流出版)を出版。
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