上阪徹の"ブックライター"式ワークスタイル~外出編~
あえて非効率を選ぶ、ということ

上阪 徹 プロフィール

情報とネタの宝庫である書店

実は外出では、もうひとつ、私が大事にしていることがある。それは、行く先々で書店に寄ることだ。文章を書く仕事をしている私にとっての現場は書店。世の中でどんなものが求められているのか、どんな情報に興味が持たれているのか、出版社や書店は何を打ち出そうとしているのか……。書店は、まさに情報の宝庫である。

いい記事、いい本を作ることが私のゴールのひとつだが、書店で雑誌や書籍の「相場」が理解できていなければ、それは難しい。すでに世の中にあるような本を作ってもしょうがないし、誰も求めていないピント外れのものを出しては意味がない。

書店で思いついたことはすぐにメモする

ということで、現場である書店には、頻繁に足を運ぶことが大切になる。雑誌売り場も見るし、書籍売り場もチェックする。そんなふうにしている間に突然、アイディアが浮かんだりすることも多い。これは車を運転していたり、週末ジョギングをしていたりするときもそうなのだが、何かに気を取られているときに、ふとアイディアが浮かぶことが多い。特に書店では、それが顕著だ。

そんなとき、かつては携帯を使って自分で自分にメールを送っていたのだが、オジサン世代の私には親指変換はなんともうまくゆかず、書いている途中で忘れてしまった、なんてことも数知れず。ここで今、ありがたい味方になってもらっているのが、タッチペンで手書き入力もできる「Lサイズスマホ」なのだ。車を停めて、さっと手書きでメモする。書店でカバーを開いて、手帳にメモする感覚でペン入力する。しかも、手書きのままで保存できる。アナログの空気が、メモに残せるのが、実はうれしかったりする。

同じ言葉でも、圧倒的な情報量を持っているのが、アナログな手書きメモだと私は思っている。文字の大きさ、太さ、力の入れ具合、質感、雰囲気……。書いたときの気分やワクワク感も出る。ワープロに打ち込むのとは、まるで違う空気が出せるのだ。実は今も企画を考えたりするときは、真っ白な紙に手書きであれやこれやと書きながら考えることが多い。だから、デジタルツールであるスマホであっても、手書きで入力できるものに惹かれる。効率アップが可能なデジタルツール全盛時代だが、アナログ=手書きの持つ力は、今後もっともっと評価されていく気がする。

効率を重視するところと、むしろ効率を考えないところ。この記事を書くにあたり、自分を振り返ってみて、そんな対極が自分のワークスタイルにあると改めて気づいた。効率は重要だが、効率だけでは限界がある気がする。

今後は、効率と非効率の対極を、さらに大きくすることを、考えていこうと思った。

(了)

上阪徹(うえさか・とおる)
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒。リクルート・グループなどを経て、95年からフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論をわかりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。インタビュー集にベストセラーとなった『プロ論』(徳間書店)、外資系トップの仕事力』(ダイヤモンド社)ほか。自著に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『リブセンス<生きる意味>』(日経BP)、『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』(飛鳥新社)などがある。

著者: 上阪徹
職業、ブックライター。
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