私、レーシック手術で失明しました

右写真、眼球の拡大写真を見ると「黒目」の上に白い濁りがあるのが分かる。角度を変え、瞳を横から見ると、表面はところどころえぐれ、デコボコになっている。兵庫県在住の女性・Kさん(46)は'10年、視力矯正のため、眼球の表面「角膜」を削る「レーシック」手術を受けた。
「手術を受けた後、黒目に白斑が出ました。術後、一旦は視力が回復したのですが、1ヵ月経った頃から右目の視力がどんどん下がって、2ヵ月後、ついに目の前に差し出されたグー、チョキ、パーの形をまったく見分けることができない失明状態になりました。視界が真っ白で異様にまぶしく、吐き気やめまいを感じるようになったんです」(Kさん)
12月4日、レーシック手術後、何らかの不具合を感じたという相談がこの4年半で消費者庁に80件寄せられていたことが発表された。同庁が先月行った、レーシック手術を受けた600人へのアンケートでは、約4割が何らかの不具合を感じていることが分かった。レーシック手術の安全性に大きな疑問が投げかけられている。
本誌の取材でも、「不具合」というにはあまりに重篤な症状に苦しむ患者が多数いることが分かった。Kさんが続ける。
「私が手術を受けた頃、ちょうど職場でレーシックがブームになっていました。
手術前、医者には『デメリットのない手術です』『事前に後遺症について説明するよう国から言われているから説明するが、実際こんなことはまず起きない』と勧められました。費用は37万円でしたが、安全なら……と決めました」
しかし期待は裏切られた。手術直後に目に痛みが出、術後1ヵ月頃を境に視力が落ち始めた。
「玉ねぎを目にこすりつけられるような痛みが続きました。医者に相談しても、『大丈夫』とか『違和感は当然』とか突っぱねられてしまいました。でも術後2ヵ月半経って右目がほぼ見えなくなったために検診をしてもらったところ、角膜ヘルペスと診断されたんです」
角膜ヘルペスは発見初期であれば4~5日で治る病気だが、このとき、Kさんの角膜はすでに手遅れの状態だった。
「我慢できなくて別の病院を紹介してもらって、治療をしました。でも結局視力は今もあまり回復していません」