上阪徹の"ブックライター"式ワークスタイル~仕事場編~
デスクも画面も大きいほうがいい

上阪 徹 プロフィール

「実際に仕事に取り組む前」が大事

一方、実はもうひとつ、この本の出版で聞こえてきた声がある。それは、本の副題になっていた"毎月1冊10万字書く私の方法"についてである。

「毎月1冊って、本を月に1冊書いているということですか?」

「いったいどんなふうにして、それだけの仕事量をこなしているんですか?」

そんなふうに驚かれるのだ。実際には、本の仕事のみならず、雑誌やネットメディアのインタビューの仕事も月に何本も抱えているので、書いている文字量は10万字どころではなかったりもする。

付箋で管理した原稿

私はフリーランスになって20年近くになるが、膨大な量の仕事をこなすために最も大事なことは「実際に仕事に取り組む前」にあると考えてきた。本を毎月1冊書くためには、それなりの準備が必要だ。取材しただけで、いきなり書けるはずがない。その内容についての詳細は拙著に書き記した。分厚い資料を付箋を使って管理する、などはその一例である。

しかし、準備にはさらに前段階がある。それが、仕事環境の設定である。といっても、基本的に私は片付け下手で整理整頓嫌い……。特別な設定をしているわけではない。それでも、できるだけ仕事が効率的になるような環境づくりを心がけてきた。その一部を、仕事場編としてご紹介したいと思う。

大量の資料を広げられる大きなデスクと大画面

まず仕事場で私が何よりこだわったのは、デスクの大きさだった。基本的に私の仕事は、大量の資料に囲まれる。デジタルデータもあるが、原稿を書くときには、必ず出力して見る。そのほうが私には書きやすいからだ。となれば、たくさんの資料を置いておけるだけでなく、広げておけるスペースが必要になる。会社員時代はごく一般的なデスクだったので、狭くて閉口していたのだ。

現在のデスクは、奥行き1m、幅2mに加え、奥行き80センチ、幅1mの袖机がついたものを使っている。ガラス製でメインのデスクの下には引き戸がついていて、ここにも資料を置けるようになっている。本は一気に5日ほどで書いてしまうことが多いが、そのときは必要な資料をこのL字の机の上いっぱいに大きく広げ、必要なものをいつでも見られるようにした上で書いている。

大きさに注意しているのは実はデスクだけではない。パソコンの画面も同様だ。私はフリーになって以後、出張などでも持ち運びができるようにノートパソコン(MacBookPro)を使ってきたが、小さな画面で原稿を書き進めるのは、なんとも効率が悪いのだ。そこで、仕事場では大型のモニターにつないでいる。キーボード、マウスも外付けを使う。

ノートパソコンの画面には、メールソフトを開いておき、メールを常にチェックできるようにしておく一方、モニターの画面には、必要なファイルを広げて仕事を進める。私は横組みで文章を書いていくので、ワードファイルを縦に長くスクロールできることは、書いたボリュームの確認や、すぐに前の文章に戻れるなど、すばやく書き進める上で極めて重要なポイントになっている。