[アイランドリーグ]
愛媛・弓岡敬二郎監督「上田、仰木両監督を手本に育成を」

スポーツコミュニケーションズ

驚いた田口壮の外野コンバート

 一方の仰木さんからは選手の適性に合わせた人材活用術を勉強しました。とりわけ印象に残っているのは田口壮のケースです。大学から鳴り物入りのショートとしてやってきた田口でしたが、プロでは送球難に悩まされました。担当コーチとして僕も途方に暮れていた時、仰木さんは「小さい的より大きい的に投げる分には大丈夫やろう」と外野コンバートを決断したのです。

 正直、その話を聞いた時にはビックリしました。しかし、結果的に仰木さんの決断は大当たりだったのです。田口は内野で培った捕球してからの速さと肩の強さを武器に、外野手としてブレイクしました。守りの不安がなくなれば、バッティングにも集中できます。気づけばチームの主力選手に成長し、その後はメジャーリーグでも活躍しました。プロ入り当初、スローイングに四苦八苦していた時期を知る者としては、未だに信じられない思いです。

 人間、どこに適性があるか分からない。可能性があるなら、いろいろとチャレンジさせるべき――。仰木さんが田口やイチローといった若手を抜擢し、彼らが一流選手にのぼりつめる様子を間近で見られたことは、その後の選手指導においても大きな財産となっています。

 愛媛でも最初は選手の特徴をよく把握し、個々に応じて、いろいろな可能性を探っていくつもりです。我々が現役の頃は指導者が選手に上から目線で接し、短所を徹底的に直す指導が中心でしたが、時代は変わっています。こちらが少し目線を下げ、選手とコミュニケーションをとりながら、徐々に長所を伸ばし、欠点をカバーできるようにアプローチしていこうと考えています。

 独立リーグに携わるのは初めてで、知らないことだらけですが、サポート役にリーグで実績のある加藤博人コーチ、森山一人コーチがいるのは心強い限りです。愛媛は四国の4球団で唯一、年間優勝の経験がないと聞いています。来季はリーグ制覇という大きな目標を掲げつつ、1人でも2人でもNPBに行ける人材をつくれるよう、力を合わせて頑張ります。愛媛の皆さん、これからどうぞよろしくお願いします。

弓岡敬二郎(ゆみおか・けいじろう)プロフィール>:愛媛マンダリンパイレーツ監督
 1958年6月28日、兵庫県出身。東洋大姫路高、新日鐵広畑を経て、81年にドラフト3位で阪急(現オリックス)に入団。1年目からショートのレギュラーとなり、全試合出場を果たすと、84年には初の打率3割を記録してリーグ優勝に貢献。ベストナインとダイヤモンドグラブ賞を獲得する。87年にもゴールデングラブ賞に輝き、91年限りで引退。その後もオリックス一筋で内野守備走塁コーチ、2軍監督、2軍チーフコーチ、スカウトなどを歴任。13年をもって33年間在籍したチームを退団し、愛媛の監督に就任した。現役時代の通算成績は1152試合、807安打、打率.257、37本塁打、273打点、132盗塁、240犠打。
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