サラリーマン読み物 武田薬品に外国人社長英語ができない中堅幹部はどうなるのか?

週刊現代 プロフィール

「わが社はどちらかというとのんびりした社風で、社員を大切にしてくれる会社でした。『事業は人なり』が経営理念です。

ところがチェンバース氏が社長に就任して、英語ができる人が重用されると同時に、取引先への対応も変わりました。長年の付き合いがある自動車メーカーから、こういう硝子窓を作ってほしいと依頼があったときに『利益が少ないから断れ』と言われました。問屋へは『この価格がのめないなら買わなくていい』と非人間的な営業をするよう強いられた。昔は問屋も小売りもメーカーも、家族みたいな感じで、苦しい時は支払いを待ってあげたり、在庫を多めに持ってもらったりと助け合っていたのですが……」

こうした会社の方針に一部の社員は疑問を持ち、反発したこともあったという。しかし受け入れられることはなかった。

「チェンバース時代の執行部は、文句があるなら辞めろという考え方でした。社内には殺伐とした空気が漂い、とても業績回復どころではなくなってしまったんです」(前出・社員)

日本板硝子は、もはや日本人の義理人情というものが、通じない会社になってしまったのである。

「外国人、特に欧米諸国の人に日本の終身雇用のような考え方はありません。彼らにとって転職は当たり前。気に入らなければ辞めればいいし、英語が話せて、能力があれば、どこででも働けるから問題ないという意識が強いのです。彼らにとっては、報酬の多寡こそがもっとも重要なのです」(前出・塚本氏)

英語ができたからといって、すべてがうまくいくとは限らない。言えることは、英語でコミュニケーションをとることが仕事ではなく、仕事の手段として英語があるということ。

それを間違えると、英語など使ったことがないという日本人の顧客の心は、やがて離れていくに違いない。

「週刊現代」2013年12月21日号より