サラリーマン読み物 武田薬品に外国人社長英語ができない中堅幹部はどうなるのか?

週刊現代 プロフィール

「社内で英語が苦手なのは、われわれのような中間管理職に多く、逆に若手社員は得意な者が多い。しかし、こちらもプライドがあるので、若手に『これ、どういう意味?』と聞きにくいんです。中には馬鹿にされたくないから、意味が分からないのに分かったふりをして誤発注をしてしまい、取引先の信用を失った管理職もいます。英語ができる若手社員は、それを見て嘲笑していました」

このように外国人社長を登用した会社では、英語ができるか、できないかが仕事に影響を及ぼすことが多々ある。

また、英語ができる社員は外国人の上司に気に入られるために、上司の夫人の誕生日に英文メッセージと花束を贈り、ご機嫌をとっている者もいるという。英語が話せないと、上司の機嫌を取ることさえできないのである。

しかし、外国人社長を登用して、社員が英語を話すようにしただけで企業の業績が上がっていくかというと、そう単純なものではない。逆に、それが悪い方向に働いた例もある。その典型が'05年、CEOにストリンガー氏を擁立したソニーだ。

「彼はトップに就くと、英語力の高い社員を積極的に昇進させた。結果、海外帰国子女や留学経験者が幅をきかせる社風へと変わっていったのです。その代表格がストリンガー氏の後にCEOに就任した平井一夫現社長です。彼は社内の本流(エレクトロニクス部門)でキャリアアップしたわけでもないのに、英語力を買われてストリンガーから後継指名されたのです。その一方で、能力はあるが英語は苦手という技術畑の中堅幹部たちが冷遇されるようになってしまった」(ソニーの社員)

かつてマイクロソフト日本法人の代表取締役を務めた、成毛眞氏が解説する。

「そもそも、ソニーは技術が売りの会社。それがストリンガー時代にはアイディアの中身より、流暢に英語でプレゼンできる社員のほうが重用されるようになり、不満を持った優秀な開発者が次々と辞めてしまった。ソニー凋落の原因はそこにあります」

このように本来、語学力と仕事の能力はイコールでないにもかかわらず、英語ができる人ばかりを重用し、人事評価まで変えてしまうのは本末転倒だ。

日本人の客が離れるかも

日本板硝子は、外国人社長のせいで、言語だけでなく、企業の風土、文化まで変わってしまった企業だ。

'08年、英国人のチェンバース氏は、英国の大手硝子会社、ピルキントン社から日本板硝子社長に抜擢された。

当時を知る社員は「たった1年の在任期間中に、社内の雰囲気が一気に悪くなった」と慨嘆する。