加齢臭はくさくない! 涙は相手の行動を制御する!? においに隠された無数のメッセージとは?

~嗅覚で感じとる魅惑の世界~
加齢臭のにおいの質は、実は誤解されている!?
東京大学大学院農学生命科学研究科教授
東原和成先生

1966年生まれ、東京都出身。東京大学農学部を卒業後、ニューヨーク州立大学で博士号取得。デューク大学、東京大学医学部助手などを経て、現在、東京大学大学院農学生命科学研究科教授。においや生物のフェロモンについて研究。

料理のおいしさは、味覚よりも嗅覚で感じる

松尾貴史(以下、松尾) 本日のゲストは、においや生物のフェロモンについて研究されている、東原和成さんです。さっそくですが、においとは、どう定義すればいいのでしょうか。

東原和成(以下、東原) においというのは、物質です。炭素や水素、酸素、窒素、硫黄といった原子がつながった分子ですね。においの成分となる小さな分子は、世の中には数十万種類あるともいわれています。

松尾 たとえば「料理の味」とはいいますが、「料理のにおい」という言い方は、頻度としては少ないですよね。秋の味覚というけれど、ほんとうは「秋の味覚・嗅覚」といってほしいところですね(笑)。

東原 そうですね。おいしいとはよくいいますが、正確には「風味がいい」ということです。

松尾 なるほど、風味ですか。

東原 ええ。風味とは、香りと味があわさった感覚をいうんです。そのなかでもやはり、おいしいと感じるときにいちばん重要なのは香りなんです。だから、鼻をつまんで食べると味も素っ気もない。

岡村仁美アナウンサー(以下、岡村)そうですね。

科学の宝箱 -人に話したくなる25のとっておきの豆知識-
著者:TBSラジオ編
講談社刊/定価1,260円(税込み)

◎ラジオ版"ディスカバリーチャンネル"が一冊の本に!

生物学や工学、心理学など、毎週さまざまなジャンルの研究者、専門家をゲストに招き、最新の"科学"についてトークを繰り広げているラジオ番組「夢☆夢Engine!」。これまで番組に登場した約120名のゲストのなかから珠玉のトークをセレクト。生物学者でベストセラー作家の福岡伸一先生、"はやぶさ"の川口淳一郎先生をはじめとした、各界の専門家25名のお話を書籍化しました。

東原 我々は、実は、喉の奥から香りを感じることができるんです。

松尾 えっ! 鼻じゃないんです!?

東原 鼻の先からももちろんきますけれども。食べて、嚙んで、唾液と混ざっていくうちに、喉の奥から香りがふっと戻ってくる。それが実は、おいしさの感じ方なんですね。 

岡村実際には香りを感じるところは鼻のなかのどこにあるのですか?

東原 頭が痛いときに鼻の上のほうをおさえることがありますね。その眉間の下の鼻骨の奥に、においを感じるセンサーがあります。このにおいを感じるセンサーは人間でいうと400種類ぐらいあるといわれていて、その400種類ぐらいのセンサーが感知した嗅覚の組み合わせで、何十万種類というにおいを識別しているんですね。

松尾 識別したにおいが、快か不快かは人によって違うこともあるんですか?

東原 そういうときもあります。でもやはり、そのにおいを好きか嫌いかは、経験によるところが大きいですね。たとえば、この香水は好きだけどこの香水は嫌いとか、感じ方は人それぞれ違いますね。

同じ香水でも、好きな人がつけていた香水は好きだったけど、別れたとたんに嫌いになっちゃうとかね(笑)。同じにおいでも、そういった経験によって感じ方が変わることはありますね。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら