11月半ばの日経新聞に興味深い記事があった。日本経済研究センター(理事長は岩田一政氏)の分析を紹介する形で、日本銀行が将来、積極的な金融緩和策を終える方向に動く「出口」の局面を迎えると、金融機関への利払いで多額の損失が生じ、日銀が国に毎年支払う納付金が最短でも3年間はゼロとなり、間接的な国民負担につながるというのである。
一般の方には、チンプンカンプンだろう。ただ、「天下」の日経、その子会社の日経センター、しかもその理事長は日銀総裁候補にもなった元日銀副総裁の岩田一政氏なのだから、正しいことを言っているのだろうと思い込んでしまう。しかし専門家にとっても、この議論はよくわからない。というか間違った議論で、この記事がおかしいと思った人の直感は正しい。
実はこの類いの議論は、日銀関係者が好んでするものである。まずポイントは、「出口」の時点で金利が今より高くなっていることにある。日銀は負債サイドで民間金融機関から当座預金を受け入れており、金利が高いとその利払い費用が高くなって、日銀経営が大変になるというわけだ。