取材・文|ミムラユウスケ(スポーツライター)
日本代表の年内最後の活動が、ついに始まる。
最近は批判を浴びることも多い代表チームだが、今回の遠征は大きな意味を持っている。前回準優勝を果たしたオランダと、若手選手が力をつけてFIFAランキングで5位に急上昇、来年のW杯でダークホースに挙げられるベルギー。超強豪との連戦なのだ。来年のW杯直前の準備期間をのぞけば、日本代表が活動できるのは来年3月に組まれる1試合(対戦相手未定)と、今回の2試合だけ。この遠征はザッケローニ監督のもとで築き上げてきたサッカーの集大成となる。そこで攻守の要となる二人がいる。
試合出場から遠ざかり危機が叫ばれていた香川真司(24)と、代表への強い想いを抱き、進化を続ける内田篤人(25)だ。
何といっても、明るいニュースは、10番を背負う香川の復調だろう。
所属するマンチェスター・ユナイテッドでは、8月にリーグが開幕しても試合出場はおろか、ベンチ入りメンバーにさえ入れない日々が続いていた。苦境に陥った原因は、いくつもある。6月に行われたコンフェデレーションズカップに出場したことによる合流の遅れ、ファーガソン前監督が明かしていた今季序盤の怪我や、8月と9月の二度にわたって行った日本における代表の活動でたまった疲れなど……。
何よりも大きかったのは、今シーズンから就任したモイーズ監督のもとで自らの実力をアピールするだけの機会がシーズンの序盤戦では思うように得られなかったということだ。