内田洋子 第4回 「本読みのシマジも唸る作家・内田洋子の数のレトリックと『私』の観察眼」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ いつだったか塩野さんの案内でローマのカラヴァッジョをみたことがあります。でもいちばん好きな絵はルーブル美術館にある女の水死体をモデルに聖母マリアの臨終の場面を描いたといわれる『聖母の死』ですね。

立木 マルタ島のあの大きな絵は、カラヴァッジョが殺人を犯し逃亡して島にきたとき、マルタ騎士団にかくまってもらったお礼に描いたそうですね。

内田 そうです。マルタ騎士団がローマ法王に掛け合って彼を無罪放免にしてくれたので、カラヴァッジョはローマに戻ろうとしたのでしょう。でもその途中客死してしまうんです。

シマジ あれは殺されたんじゃないですか? ローマに戻ってきたらまた騒動を起こすかもしれないと、ときの権力側が考えたんでしょう。

内田 それは何ともいえません。

立木 たしかカラヴァッジョは両刀使いだったんだよね。

内田 そういわれていますね。

シマジ 両刀使いでもゲイでも、おれはあの天才は許すね。ルキノ・ヴィスコンティも、ゲイでも両刀使いでもおれは許します。それは天才だからです。

内田 あちらの方はやっぱり感覚が鋭いんでしょうね。

シマジ おれたち凡夫にはみえないものがみえてるんじゃないですかね。

立木 シマジ、「おれたち」とよくいってくれた。

シマジ そろそろネスプレッソ・ブレーク・タイムにしましょうか。

立木 セオはまだか。

セオ スミマセン、スミマセン。会議が長引いちゃって遅くなりました。内田さん、講談社のセオと申します。遅れてゴメンナサイ。

内田 はじめまして、内田です。