プロ野球特別読み物 小笠原道大よ、谷佳知よ、最初から分かっていたはず 巨人にFAで入っても幸せにはなれないのだよ カネに転んで「故郷」を捨てた男たちの末路

週刊現代 プロフィール

「長嶋さんや原さん、ヨシノブ(高橋由伸)のような生え抜きのスターなら別ですが、外様に情をかける気はありません。態度が悪かったり、ダメになったら代わりを連れてくればいい、それがうちの球団方針です」(巨人関係者)

巨人における外様の難しさ。小笠原は入団してすぐにそれを痛感したはずだと、現楽天二軍監督の大久保博元(46歳)は言う。

「僕も西武から'92年に巨人へ移籍した、小笠原と同じ外様組です。小笠原が超一流なのは間違いなく、彼の実力は巨人でも認められていた。しかし小笠原自身には、ずっと自分がよそ者であるという気持ちがあったはずです。僕もそうだったからわかる。巨人と他の球団ではまったく雰囲気が違うんです。常に巨人らしさを求められる。

球団行事に出席するときは、必ずジャケットにネクタイ。茶髪やヒゲも当然ダメ。外出する場合は、どこで見られているかわからないから、たった50mの距離でもタクシーに乗ったりする。それが悪いことだとは言いません。しかしそれまでのびのびと自由に野球をしてきた、他球団、特にパ・リーグの選手にとっては、なかなか馴染める文化ではありません」

外様はつらいよ

先ほども名が挙がったが、高橋由伸や阿部慎之助といった生え抜きのエリートたちは、そもそも扱いが違う。入団時から将来の監督が約束されているケースまである。

「江藤智や川口和久など、コーチには少しずつ外様でもなれるようになってきました。しかし、監督は絶対に生え抜き。それはこれからも変わらないでしょう。伝統の重みを知っている選手にしか、『読売巨人軍』の監督は務まらないです。球団ではなく、『軍』なのです。だからこそ、将来の監督候補たちは大切にする。坂本勇人や長野久義といった生え抜きたちにも、もちろんエリート教育がなされています」(前出の巨人関係者)

'06年に中日からFAで移籍した野口茂樹(39歳)も、外様と生え抜きの違いに苦悩した一人だ。野口が言う。

「巨人では3年間プレーしましたが、いい思い出は……ないですね。巨人では先発から中継ぎへとコンバートされた。それで肘を痛めてしまったんです。それまでも肘には故障を抱えていて、治し方というか、ごまかす方法はわかっていたんです。それは休養をもらうこと。しかし巨人では、休んでいる余裕がなかった。少しでも欠場すれば、すぐにポジションを奪われてしまいますからね。

FAで自ら移籍を希望したということが大きかった。生え抜きの選手とは違い、僕ら外様は『痛いから休ませてください』なんて言える状況ではありませんでした。それでどんどん悪化していった」