2013.11.15

「転職=キャリアアップ」という考えは間違いです
『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』著者・塩野誠氏

「ブラック企業」「ホワイト企業」への違和感
塩野 誠 プロフィール

 本書では、たとえば入社後、一日仕事をしている中で日本語でしゃべっていることを全部一回列記して、それを英訳してみることをおすすめしています。一日の仕事を振り返ると、普通の人は毎日毎日クリエイティブなことを言っているわけではありません。日々使う定型文を英訳・暗唱しておくだけでも、あとはその組み合わせでメールなども使って、自分が伝えたいことを伝えることができるものです。

「いろんなことは大したことがない」

――第3章では、「転職するなら35歳までに決断した方がいい」と指摘していますが、これは「転職のすすめ」を意味するのでしょうか。

塩野 違います。世の中には「転職=キャリアアップ」だと思い込んでいる人も多いですが、それは大きな間違いであることをお伝えしたいですね。

 私の場合、新卒で入社した外資系企業を辞めたのは22~23歳の時で、それは、環境を冷静に考えると「ここにいたら自分はダメになる」と思ったからでした。また、その会社では「その業務はマレーシアのオフィスに移管されることになりました」「シンガポールに拠点が移ります」といったことが日常的にあって、普通に東京の部署がなくなってしまう現実を間近で見たことの影響も大きかったです。業務自体ははっきり言って誰でもできる仕事で、だから人件費の安い海外へ移転されるわけですし、自分の代わりはいくらでもいたのです。要するに、その会社に居続けていきなりクビになることや、将来ごはんを食べていけなくなることの恐怖感、焦燥感が強かったのです。

 以後、起業や証券会社副社長を経て、現在のコンサルティング会社のパートナー(共同経営者)になるまで、5回以上ある転職経験をもとにお話ししますと、私は自分に向いていて、誰かに必要とされるような仕事を探していったところ、結果として今に至ったわけで、一般的には転職というのは新しいリスクを取ることなので、基本的には転職しないほうがいいです。決しておすすめしません。