2014.01.03
# 雑誌

実例集 幸せだった老後は簡単に瓦解した 私はこうして70歳過ぎてビンボーになった 

70歳からのビンボーはこんなに怖い第3弾
週刊現代 プロフィール

家族に迷惑をかけないために、老人ホームへの入居を考える人も多いが、そこにも落とし穴はある。

都内に住む倉本孝明さん(71歳)は、70歳になったとき自宅マンションを1500万円で売却し、都内の有料老人ホームに夫婦で入居した。一時金は1000万円。毎月の支払い約25万円は、なんとか年金で賄える金額だった。

「息子夫婦に世話になるよりも、老人ホームのほうが気楽でいいと思ったんです。死ぬまでここでのんびり生活しようと考えていた。ところが、いざ入居してみると、大声で騒ぐ人や根拠のない噂話をする人などがいて、居心地が悪くて仕方なかった。施設の人に相談しても埒が明かず、1年後に退去することにしたんです」

退去を申し出ると、手元に戻ってきたのは一時金1000万円のうち、たったの300万円。抗議しても「施設の規定によって算出した金額です」の一点張りで、結局それ以上返金されることはなかった。

泣くに泣けない

老人ホームへ入居する際は、その施設の規定を確認しておかないと、取り返しのつかないことになってしまうのだという。ライフカウンセラーの紀平正幸氏はこうアドバイスする。

「『一時金の返却は規定によって返済される』という旨が契約書に書かれていれば、返金がどれだけ少なくても法律違反にはならないのです。ただし、昨年老人福祉法が改正され、新しい施設ではこのようなことは起こらないのですが、昨年4月以前に開設している老人ホームの場合、2015年3月までは従来の約款が使用できるため要注意です。退去時の一時金返済がどうなっているかを必ず確認してください」

また、老人ホームには、入居中に要介護度が上がると、月々の費用が上がったり、場合によっては退去しなくてはならないケースもあるので、事前に確認しておいたほうがいい。認知症の妻を介護している山岸忠志さん(78歳)は、施設の費用が払えなくなり、在宅介護に苦しんでいるという。

「5年前に老人ホームに入れた妻の症状は、どんどん悪化していきました。入居中に骨折して寝たきりになってしまい、費用が上がったんです。もともと年金で賄っていたから、そんな余裕はない。いろんなところに相談したけど、親身になってもらえるところはなく、最終的に特別養護老人ホームの入所待ちをしながら自宅で看ることにしました。

でも、手すりやトイレの改造などでカネはかかるし、貯金はほとんどなくなってしまった。妻は夜中に徘徊し、時には暴力をふるうようになりました。長く生きるだけ苦しみが増えるなんて、泣くに泣けません」

「なんとかなるだろう」そう思って生きていても、70歳を過ぎると予想だにしなかったことが次々と生じてしまう。家族に裏切られてしまうこともある。70歳からのビンボーを避けるためには、どうすればいいのか。

「70歳を越えてから、自分では想像もできなかったことが起こることは多々あるのです。そのときになってから考えるのでは、手遅れのこともある。不測の事態に備えるためには、前もって老後の設計をしておくことです。目安としては、自分が親の介護を始める年齢になったら、自身の老後について考え、蓄えもしておくべきでしょう」(前出・上田氏)

最後には、自分の身は自分で守るしかない。今からでも遅くはない。幸せな老後を送るために、一度、真剣に考えてみてほしい。

「週刊現代」2013年11月16日号より


 

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