2014.01.03
# 雑誌

実例集 幸せだった老後は簡単に瓦解した 私はこうして70歳過ぎてビンボーになった 

70歳からのビンボーはこんなに怖い第3弾
週刊現代 プロフィール

築30年超の自宅は老朽化し、先日、天井からの水漏れも発覚した。だがリフォームする余裕もなく、耐えるしかない状況だ。

「とにかく節約できるところはとことん切り詰めるしかない。まずは食費ですね。妻が工夫してくれていますが、鍋を3晩続けて食べていると情けなくなる。1日目は湯豆腐、2日目は白身魚を入れて、3日目は安い豚の切り落としを入れる。こうすると野菜や出汁に無駄が出ないんです。おじやは最後の日にだけ。これが我が家の定番になりました」

70歳からは、さまざまな「想定外」の事態が起こる。そこからビンボー生活が始まってしまうのだが、北村さんが言うように「こんなに長く生きると思わなかった」という想定外を嘆く人は多いという。医療コーディネーターとケアマネージャーの資格を持ち、数々の高齢者の相談にのってきた上田浩美氏は、こう話す。

「医療の進歩によって、持病のある方でも長生きできるようになってきました。ですが、とくに現在70歳前後の方は、親が80歳を超えて生きた方も多くはなく、せいぜい70代前半まで生きられればいいかと思ってらっしゃる方がとても多い。高齢になってはじめて、このままでは家計が厳しくなると気付くのです」

医療費や食費など現役時代は気にならなかった小さな負担が積み重なり、じわりじわりと家計を圧迫していく—これも70代ビンボーのよくあるパターンだ。

「まるで、真綿で首を絞められていくような苦しさ」

都内に住む澤田彰さん(75歳)は今の生活をこう表現する。現在は73歳の妻と二人で暮らしており、受け取っている年金額は夫婦で月に20万円程度だ。

澤田さんを苦しめているのは、医療費でも食費でもなく、「墓」だという。

「祖父の代から続いている寺の檀家費用です。私は長男で、親から譲り受けた土地と家があるので恵まれてはいるのですが、退職後はこの墓にかかる費用が馬鹿にならなくなってきました。墓の管理費や会費は年間3万円程度なのですが、寺の補修をする場合に、その都度請求が来るんです。『一口20万円として○月○日までに振り込んでください』と書かれた請求書に、振込用紙まで同封されてくる。多いときは、年間50万円近くになったこともあるんです。拒否することもできませんし、預金から支払いました。

子どもからは檀家をやめて霊園に移ったほうがいいのでは、と言われますが、先祖から守っている墓を移すことは考えられなくて。寺も古くなってきているので、今後もさらに負担が増えるのではと心配なんです」

実際、このように墓の悩みを抱える人は増えているのだという。

「とくに都会のお寺は檀家不足で、檀家をやめたいといっても止められることが多い。昔からの付き合いは大切だからと、なかなかこの出費を抑えることができないのが現状です」(都内で民生委員を務める男性)

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