2014.01.03
# 雑誌

実例集 幸せだった老後は簡単に瓦解した 私はこうして70歳過ぎてビンボーになった 

70歳からのビンボーはこんなに怖い第3弾
週刊現代 プロフィール

「この状態になってはじめて、自分の置かれている状況がかなり厳しいことに気づきました。貯金はほとんど残っていない。いつか親父の家を売ればいい、と考えが甘かったんです。

一日2箱吸っていたタバコも、日に5本で我慢しています。それもギリギリまで吸うもんだから、ほら、指がニコチンで黄色くなっているでしょう。侘しいね……。でも一番悲しいのは、孫が寄り付かなくなったこと。何も買ってあげられないし、たまに遊びに来ても、食事代も息子に払ってもらうことになる。レストランに行って、孫に『好きなもの、どんどん注文しな!』と言ってみたいですよ」

子育てや長年の会社勤めからようやく解放され、第二の人生を穏やかに過ごしていきたい—そう思ったのもつかの間、予期せぬところで不幸な運命を辿っていく。その原因の多くは「カネ」だという。

それまでとくに贅沢な生活をしていたわけでも、詐欺にあったわけでもない。小林さんのように、ごく慎ましく一般的な生活をしていた人にも、老後の不運は訪れてしまう。いま急増している「70歳からのビンボー」。今回は、この苦しみを身をもって体験した人々の声を紹介していこう。

茨城県に住む北村勝彦さん(76歳)もその一人だ。

北村さんは63歳まで、同じ年の妻と二人で居酒屋を営んでいた。こぢんまりとした店で、馴染み客も多く経営は順調だったという。

「20年以上、夫婦で細々と店をやっていましたが、歳のせいもあって、持病の不整脈が悪化してきていた。60歳になるとき、そろそろ店をしまおうかと妻と決めたんです。当時、貯金は1000万円以上ありましたし、店舗兼自宅のローンも終わっていた。私の体調を考えれば、そう長生きすることもないですし、老後を夫婦二人で過ごすくらいならどうにかなるだろうと思っていたのです」

せっかく長生きしたのに

ところが、その後、意外なことが起こる。結婚して地元を離れた一人息子が、離婚して戻ってきたのだ。

「勤めていた会社が倒産したのです。その後、お嫁さんがパートに出て生活費を稼いでいたようなのですが、結局離婚してしまった。子どももいたのですが、親権はお嫁さんに取られ、慰謝料代わりに自宅も譲ったそうです。息子は次の職を探す気力もなくなって、我が家に引きこもっています。生活費の面倒も見なくてはいけないし、預金はもはや400万円ほどしか残っていません。

気づけば私ももう76歳。じつは、仕事を辞めてから体調はだいぶ良くなったんです。息子がこんなことになるとは思ってもいませんでしたし、長生きすることがわかっていれば、もう少し頑張って働けばよかった」

関連記事