いったいグーグルは何を作ろうとしているのだ!---10月、ベイブリッジの近くトレジャー・アイランドに忽然と現れた巨大な海上構造物に、サンフランシスコ市民は懐疑の目を向けていた。
注目を浴び始めたのは10月25日、テクノロジー業界誌CNETが「グーグルはサンフランシスコ湾に海上データセンターをつくるのか」と題し、建造中の大きな建物を写真つきで報道した。その写真には、河川や運河で巨大な荷物を運ぶ艀(はしけ、バージ)の上に、高さ約15メートル、幅75メートル、4階建てのビルが映しだされていた。
検索サービス最大手のグーグルという名前につられ、地元市民や自然環境保護団体は「データセンターなどを作られては景観を損なう」と警戒した。しかし、グーグルはそうした懸念を無視するように、口をつぐんでいるため「グーグル・バージの謎」と一斉にシリコン・バレー・メディアが騒ぎ立てた。
今回話題になっているサンフランシスコ湾は、広さ約1300平方キロ。湾の南端にはシリコンバレーのメッカ「サンノゼ市」が広がり、多くのハイテク企業が立地している。北端のサンフランシスコには有名なゴールデンゲードブリッジ(金門橋)を筆頭にベイブリッジ、ダンバートンの三大橋がかかっている。また、湾内にあるアルカトラズ、エンジェル、トレジャーという3つの島も観光名所として有名だ。
1939年の万博用に人工的に作られた島がトレジャー・アイランドで、謎の構造物はそこに係留されている。
サンフランシスコと同時に、メイン州のポートランド港でも同様の構造物が出現し、メイン州の地元紙が「データセンターを建設しようとしている」と騒ぎ立てた。調べてみると「By and Large LLC」という謎の会社が、両はしけを所有している。
どうやらグーグルが、サンフランシスコとポートランドで「同時になにかのプロジェクトを開始した」ことは確実だが、海上構造物については、詳細な書類を港湾当局などに提出する必要がない。そのためグーグルが謎を明らかにしない限り、なんの目的に利用するのかは不明だ。