二宮清純「川上哲治、四半世紀前の提言」

二宮 清純 プロフィール

「アマチュアに育成費を」

 もっと驚いたのはアマチュアへのプロ側からの資金援助の提案です。川上さんは、その方法論まで披露されました。

「プロはアマチュアから選手をただでもらっているんだから、その育成費をきちんとお返ししなきゃいかん。高校野球でも大学野球でもノンプロでも、どんどんおカネを出して盛り上げてやるんですよ」

「そのためには原資となるおカネがいる。アメリカのようにコミッショナーがテレビ放映権を全部牛耳り、その上がりを12球団に割り振ればいい。たとえば巨人戦がらみの試合だと1試合5千万円は入る。コミッショナーは一番高い巨人戦がらみだけを売るんじゃなく、パ・リーグの球団にも平等に売る。売れないんなら巨人戦とセットにしてもいいんじゃないかな……」

 繰り返しますが、以上はおよそ四半世紀前のインタビューです。川上さんは巨人のみならず、球界全体を見渡したビジョンをお持ちになっていました。

 名選手でもあり、名監督でもあった川上さんは、昭和を代表するリーダーのひとりでもありました。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。