海なし県に海の恵み。海の酵母から、極上ワインができる!

~微生物がつくる発酵食品の世界~
山梨大学大学院医学工学総合研究部教授
柳田藤寿先生

1961年生まれ。東京農業大学大学院修了、農学博士。山梨大学助手、ワイン科学研究センター長などを経て、現在、山梨大学大学院医学工学総合研究部教授。一貫して酵母や乳酸菌といった微生物の研究を続け、数々の新商品を生み出している発酵食品の専門家

ワインの科学的メカニズム

松尾貴史(以下、松尾) 本日スタジオにはワインの香りが漂っています。ワインといえば発酵、発酵といえば、ま、科学的なことでございますね。本日は理系の香りがするワインです(笑)。ワイン科学研究センターの長を任された経歴をお持ちの柳田藤寿さんにお越しいただきました。

柳田藤寿(以下、柳田) はい。よろしくお願いします。

松尾 このセンターは、ワインにまつわるさまざまなことを研究する機関ということでいいんですよね?

柳田 そうですね。日本で唯一、ワインを研究する機関です。ワインのブドウ、発酵、成分、これら三つを中心に研究しています。

松尾 まず、ワインの基本からうかがいましょう。ワインはどんなお酒だと思えばいいのでしょうか?

柳田 簡単にいうと、ワインとはブドウを酵母によって発酵させたものです。

松尾 酵母とはなんですか?

柳田 酵母とは、微生物の一種で、ブドウのなかにある糖を食べてアルコールをつくるんですね。

松尾 なるほど。たしかビールをつくるときも酵母が糖を・・・。

柳田 ええ、同じです。ビールも、日本酒も、アルコールができる基本は同じなんですね。

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松尾 先ほど酵母を加えて発酵させると教えていただいたのですが、これはふつうにブドウジュースを放っておいても、酵母がないとワインにはならないわけですよね?

柳田 そうですね、はい。

松尾 酵母は微生物とおっしゃいましたが、つまりはどういうところから持ってくるんですか?

柳田 基本的には自然環境。陸上の花や蜜などから探してきて、入れます。

松尾 甘いワインって、ありますよね? あれはつまり、酵母が糖分を食べ残しているということなんですか?

柳田 基本的にはそうです。甘いワインは発酵を途中で止めるんですね。そうすると、ブドウのなかの糖が残るので甘い味になるんです。

岡村仁美TBSアナウンサー(以下、岡村) では、ワインの甘さや辛さは、どのくらい酵母に糖を食べさせるかによって決まる、ということでしょうか?

柳田 そうです。長時間かけて全部糖を食べさせればドライ、辛口になるということです。

松尾 へ~。あと、酸化するとかしないとか、コルク栓をして保存するときに、さまざまなことがいわれますよね?

柳田 やはり、空気に触れると酸化によってワインの味が悪くなるんですね。したがって酸化を防ぐために、現代では酸化防止剤として亜硫酸をワインに加えるんです。

松尾 亜硫酸って、体にいいとか悪いとか、いろんなことをいっている人がいますけど、実際どうなんですか?

柳田 我々からいわせれば、体に悪いほどの量を入れてないんですね。そもそも法律で350ppmと決められてますので、確実にそれ以下。だいたい50~100ppm程度しか入れてませんので、それは全然問題ないです。

松尾 神経質になる必要はないと。

柳田 はい。亜硫酸を入れないとどんどん酸化が進みますので、すぐ飲まないとダメなんですね。逆に、すぐに飲まないといけない酸化防止剤無添加のワインだったらいいと思いますが、ふつうは、1~2年経っちゃうと酸化してすごく味が落ちます、正直いって・・・。

松尾 まずいものを我慢して飲むことになって、かえって精神衛生上よくない(笑)。

柳田 そうですね(笑)。僕としては入れたほうがいいかなと思います。はい。

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