『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』第1章全文公開!
<後編>---「株の運用に伴うリスク」

株式投資の場合には、1つの企業の株のみに全資産を注ぐのは避けたほうが賢明です。大型株、小型株、業種もいろいろありますし、2013年初頭ならアベノミクス関連株とあまり政策の影響を受けない株を両方もつとか、内需企業、外需企業、さまざまな分野の株に分けて投資することで、リスクを分散できますよね。

為替に置き換えてみても、同じ円売り戦略でも、ドル買い円売りだけでなく、ユーロ、ポンド、オーストラリアドルなどを買って円を売ると、たとえばドルが暴落した場合でもリスクを分散できるのです。

日本では、預貯金・土地・株式の3つに分散して投資する「資産三分法」が有名です。デフレの際は現金の価値が高まります。モノの価格が下がるので同じお金で買えるものが増えるわけです。一方で株や土地の資産価値は下がりがちです。反対にインフレの際は、現金は弱く株や土地が有利ですね。資産の額が大きく、投資期間が長期になるほど、分散投資は重要になるといえます。

海外マーケットの基礎知識

株価に外国為替が影響するというお話はすでにしました。そのなかでも、とくに日本経済に影響を与えるのは、やはりアメリカの景気です。

アメリカの株式相場で日本の日経平均株価のような目安となるのが「ニューヨークダウ(NYダウ)」です。ニューヨーク(NY)ダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average、DJIA)は、ダウ・ジョーンズ社というアメリカのニュース通信社が算出していて、1896年に農業、鉱工業、輸送などの12銘柄による平均株価として算出されたアメリカの景況を表す株価指数です。

1928年からは30種平均となり、日本ではニューヨーク株価指数とも呼ばれます。

「え? たったの30銘柄?」

と思われるかもしれませんが、9030以上の上場銘柄があるなかの30種類の平均株価指数なのです。選出された企業はアメリカ国内だけでなく世界的な優良企業であるといえます。ところでNYダウが上がると日経平均株価が上がるといわれていますが、これは一概にはいえないので注意が必要です。

たしかにNYダウが上がれば日経平均株価も上がることが多いのですが、1990年から2010年ごろまでの20年間、ダウはほぼ一貫して右肩上がりでした(2008年に住宅バブル崩壊で100年に一度の不況を迎え、著しく下落しましたが、翌年から回復してきました)。

一方、日経平均株価はほぼ一貫して右肩下がりだということで、「長期的にみると連動しているとはいえないのでは?」と、私は感じています。ただ、NYダウが上がっているとドル高円安になることが多く、円安だと日経平均株価が上がるという傾向はあります。円安に向かうと、輸出関連企業の業績回復につながって、株価が上がり、日経平均株価も上がるということで、連動しているという考え方もあるようです。たしかに朝9時、日本の証券取引所が開いた最初の取引、いわゆる寄り付きの段階では、前日のNYダウの状況によって日経平均株価も上下しやすい傾向があります。企業や個人にかかわらず、投資家の資金は株、債券、商品といった金融資産に投入されるものですので、NY市場で資金が株に流入していれば東京市場でも株に資金が集まるという考え方もあります。

また、株価をみるときに日本人は株価を国内の同業他社と比較しがちです。たとえば自動車株ならトヨタとホンダを比較するといった具合です。しかし、国際的に活躍する金融機関の機関投資家は、トヨタ株を評価するとき、アメリカのGMやドイツのフォルクスワーゲンなどと比べています。海外の同業種の他社比で割安かどうかをみて売買を決めるわけです。

というわけですので、国内企業の株のみを保有している場合でも、海外のマーケットをチェックすることが賢く株式を運用することにつながるのです。

アメリカだけでなく、新興国の経済動向も、日本経済には大きく影響します。

もうお馴染みになりましたが、勢いのある新興国を表すものとして「BRICS」という言葉があります。Bはブラジル(Brazil)、Rはロシア(Russia)、Iはインド(India)、Cは中国(China)のことを指します。またSは本来は英語の複数形「s」でしたが、いまは南アフリカ共和国(South Africa)を意味するとされています。

これまでの発展途上国の中で、今後大きな経済成長が見込まれるのが、ブラジル・ロシア・インド・中国の4ヵ国だと、アメリカの投資銀行大手のゴールドマン・サックスが2003年10月に投資家向けにまとめたレポートで用いてから、一般にも広く使われるようになりました。

BRICS諸国には共通した経済発展に欠かせない要素があります。