池上彰×津田大介 【第3回】SNS時代のメディアの役割と「ポリタス」が変える政治の未来

共著『メディアの仕組み』記念対談

メディアの役割は「意図を伝えること」

津田: オバマ大統領が去年再選したときなんかも、第一報はメディアが当確を打つよりも早くオバマ大統領自身がTwitterで宣言して、それが80万リツイートされたりしましたからね。そういうふうに、もう速報というのは当事者がどんどん流しているじゃないですか。

それはそれだけ当事者が情報を伝える手段ができたということでもあって、これはうがった見方をすれば、当事者が自分に都合のいいようにコントロールして情報を流すことができるということでもあるということでもあると思うんですが、そういうときに、新聞やテレビの役割ってどうなるんでしょうか?

池上: それで言うと、ヒラリー・クリントンが最近Twitterを始めたんですね。それで「あれ、なんで今頃?」とみんな不思議に思うわけです。ヒラリー・クリントンが「Twitterを始めました」と発表して、それをみんなが リツイートしたり、フォロワーがついていくわけですよね。ヒラリーが何を考えているか何をやろうとしているかは、そのツイートを見ればいいわけです。

でも、なんで今の時期にヒラリーがTwitterを始めるんだろう、と。つまり、オバマ政権が第二期になって国務長官を降りたわけで、とりあえず第一線から降りて何をするんだろうと思ったら、しばらく休養していて、Twitterを始めた、と。自分の意見や考え方を広く知ってもらいたいと考え始めたわけでしょう。「これは、次の民主党大統領候補を選ぶ動きを始めたのかな?」ということなんですが、ヒラリーはそういうことを一切言わないわけです。

津田: でも、Twitterアカウントを開設してTwitterを始めたということは、そういうことなんじゃないかな、と。

池上: そこで、それが何を意味するのかな、ということを報じるのがメディアの役割だと思います。

津田: ちゃんとそれは、「この人がこういう情報をこういう形式で流しているということはこういう意図があるんじゃないか」ということを分析して報じるということですね。

池上: だから、ボストンのテロで言えば、第一報はボストン警察にやられるわけですが、そのあとボストン警察の調べからわかってきたことについて、警察だって都合のいいことだけしか発表しないわけですから、現場に行って現場の様子を取材していれば、警察があえて言っていないことが出てきたりするわけでしょう。

嘘は言っていないかもしれないけれども、少なくとも警察が隠す事実、発表しない事実っていくらでもあるわけですね。それがわかると全体像がずいぶん違ってくるということはあるわけですね。そこがやっぱり記者の仕事でありメディアの役割かな、と思います。