「数学とは、何のために勉強するんだ」と悩んでいる人へ

『読解力を強くする算数練習帳』
佐藤 恒雄 プロフィール

みなさんも「数学とは、何のために勉強するんだ」と考えた時期が一度くらいはあったはずです。

数学の勉強を続けていくと、数学が自分の内に論理的思考を育ててくれるものであることがわかる人たちと、一方、何てつまらないことを勉強するんだ、こんなもの何の役に立つのか、と疑問を抱いたまま数学を卒業してしまった人たちと、二つのタイプに大別できます。

でも多くの人たちは大人になって、算数や数学を勉強してきたことで、筋道を立てて、論理的に考えるくせが身につくことを悟るようになるのです。

じつはその手助けをしたいという思いから、今回講談社ブルーバックスより『読解力を強くする算数練習帳』を上梓することにしたのです。

大人たちの数学に対する無理解が、そのまま子どもたちの算数や数学に対する偏見や誤解になり、子どもたちの「数学離れ」を促進させることにもなりかねません。読解力を失い、数学や科学への関心や興味をもてなくなった子どもたちに、確かな読解力を身につけさせることにより、数学への関心や興味を高め、彼らの能力をレベルアップさせ、もう一度、数学の「応用力」を世界第一位に引き戻さなければなりません。

そのためには、子どもたちに基本的な言語能力をつけさせることです。

じつは算数の文章問題には、国語の文章以上に論理力や推理力といった、より高度な読解力を身につけるための要素がぎっしりと詰まっているのです。

とくに、読解分析力、翻訳力、目標設定力、遂行力といった四つの力が統合されてはじめて、本当の読解力が発揮できるのです。わずか数行の問題文とバカにしてはいけません。

すべての学力の土台は、言語能力です。その能力を算数の文章題を解きながら身につけられるとしたら、一石二鳥です。

問題を解くことで言葉の修練を、数学的発想力を身につける。日本が世界第一位に返り咲くためには、これ以外に方策はないと私には思えるのです。

(さとう・つねお 千葉大学名誉教授)

 
◆内容紹介
「数学とは、何のために勉強するのか」と、考えた時期がだれしも一度くらいあるはずです。数学の勉強を続けていくと、数学が自分のうちに論理的思考を育ててくれるものである、とあるときわかる人と、一方、何てつまらないことを勉強するんだ、こんなもの何の役に立つのかと、ずっと疑問を抱いたまま数学を卒業してしまった人と、2つのタイプに分かれるといいます。もう一度、「数学がいった何の役にたつのか」いっしょに考えてみませんか。
 
佐藤恒雄(さとう・つねお)
一九三五年、福島県白河市に生まれる。千葉大学文理学部卒業。東京工業大学理学部研究生となり、母校の助教授を経て理学部教授、二〇〇一年に退官。千葉大学名誉教授。専門は、複素解析学で、代数型関数の値分布論の研究によって、理学博士の学位を取得する。傍ら、数学教育にも関心を持ち、偏差値に代わる数学の新しい評価法(ヒューレ値)を研究開発する。数学道場を開き、数学の得意、不得意を問わず、中高生に、わかりやすい数学を実践指導し、効果を上げている。著書に、『大人のための算数練習帳』(三部作で累計一六万部)、『史上最強の実践数学公式123』(共にブルーバックス)や専門書から学校参考書、受験参考書など多数。