これからのビジネスマンの働き方を提案する
『ビジネスをつくる仕事』著者・小林敬幸氏インタビュー

小林 敬幸

成功を続けている人はみんなリアリスト

――本書ではご自身が関わった新しいビジネスの成功例として、ライフネット生命の立ち上げと、通称お台場の観覧車の立ち上げという、まったく違うふたつの例が主に取り上げられています。そこがまた本書のおもしろさになっているんですが、新規事業を立ち上げるのは、傍目に見ていてもそれほど簡単なものではないと思うんですね。小林さんご自身のいままでの戦績というのは、だいたいどのようなものなんですか?

小林 そうですねえ、いままで、それなりの規模で始めた事業は10個くらいでしょうか。そのうち、これはうまくいったというのは4個くらい、会社に損をかけちゃったのが2個くらい、あとはトントンという感じ。金額でいうと、成功した利益の合計は、損失の合計の100倍近くになると思います。率直に言って打率はそこそこいいほうだと思います。

 でも一方で、5個くらいは会社内の審議にあげて没になっていますね。私の勤めている会社の場合、普通は社内の審議にあげるものは、根回しをして通ることを前提としてあげることが多いのでだいたい通るものなんです。ですから社内で審議にあげて没になった数も社内でとっても多いほうだと思います。さらに社内の審議にあげる以前の部内レベルで没になったものは十個以上ありますね。  

――小林さんくらい経験を積まれてベテランになってくると、いままでの成功体験をもとに守りに入る人も増えてくる年代だと思います。でもビジネスをつくるということを考えると、これほど変化の激しい時代で、当然いままでの方程式は通用しない場面も多いでしょうし、むしろベテランだからこその難しさも多くなると思うんですが、いま心がけていらっしゃることはあるんですか?

小林 私は今年51歳になりますが、正直しんどいことも多いですよ。いままでの成功体験方程式に当てはめていきたいという自分もいるのは確かですし、いろいろ経験をしてこれからやらなくてはいけない苦労がよく見えるようになった分、ああ、またあのたいへんなことを俺はやるのかという思いもありますね。

 でも新しいことをやっていかないと自分も組織もダメになっていくんだという気持ちは、あんまり歳をとっても変わらないですね。それがモチベーションになっている。そして最初にも言いましたが、やっぱり楽しいんです。

 もちろん本書で書いたような基礎的な武器を持って新しいことに立ち向かうんですが、一方でその武器が今度も通用するのかどうかという疑いは常に持って当たっています。そうしないと結局失敗することにもなりかねませんから。