データの意味を的確に表し
卒論や修論、レポートなどに用いるグラフの質を
飛躍的に向上させる描き方を学ぶ!
●実験データをまとめるためのグラフとは
本書では、実験のデータをまとめる際に用いられるグラフをExcelで描く方法を解説します。
ここでの「実験」とは、高校での物理実験や化学実験、大学での電気・電子工学実験、機械工学実験、信号処理実験などを想定しています。描くのは、入力と出力の関係を表すグラフや、時間とともに変化する時系列のグラフ、さらにデータの集計に用いるヒストグラムなどです。これらのグラフには、営業成績を示す棒グラフや製品のシェアを示す円グラフなど、ビジネスに用いられることの多い一般的なグラフと異なる点が2つあります。
1つは、扱うデータの種類です。一般的なグラフで取り扱うことの多いデータは、人名や製品名などの「文字列」と金額や個数などの「数値」の組み合わせです。これに対し、実験データのグラフでは「数値」と「数値」の関係を表すことが多くなります。そのため、用いるグラフの種類も一般的なグラフとは異なります。
もう1つは、グラフの仕上がりです。一般的なグラフでは、グラフの色にグラデーション効果を付けるなどして、できるだけ美しい仕上がりを目指す傾向があります。一方、実験データのグラフでは、「美しい仕上がり」より「グラフの意図が誤解なく伝わること」が何より重視されます。
本書では、主にこれら2点を踏まえて、Excelで実験データをまとめる際に用いるグラフの描き方を学んでいきます。
●実験データをExcelでまとめる際に求められるもの
前述のように、実験データをグラフでまとめる際に重要なのは「数値からなるデータをいかに誤解なく伝えるか」です。これをExcelで実現するには、グラフのタイトルや軸ラベル、凡例、目盛などの細かな設定について理解することが求められます。
他にも、モノクロ印刷でもグラフを判別できるような配色や線の種類の設定方法、さらには近似曲線、誤差範囲、対数目盛などの知識も欠かせません。また、実験データと理論式を比較することもよくあることですので、理論式に基づくグラフを描く手法も知っておく必要があります。
これらを本書の各章で解説します。学会発表の資料や、投稿論文でも通用するグラフをExcelで描くために必要な要素を自然とマスターしていけるでしょう。