二宮清純「日本シリーズは今も昔も“先手必勝”」

二宮 清純 プロフィール

“優勝請負人”が証言する2戦目勝利の効果

現役時代、2度のシリーズMVPに輝いた工藤

「もうひとつ理由が考えられます」。私の話を引き取ったのは、西武、ダイエー、巨人で歴代1位タイとなる14回のシリーズ出場を果たし、11度の日本一を経験している工藤公康さん。通算奪三振102は、今でもシリーズ記録です。

「同じ1勝1敗でも、初戦に勝つのと2戦目に勝つのとでは気分が違います。負けて移動するよりは勝って移動した方が、気持ちも乗ってくるでしょう。そこに“2戦目重視”の理由があるのではないでしょうか」

 なるほど、そういう意味合いもあったのかもしれません。

 そこでデータを調べたところ、驚くことが判明しました。2戦目重視といいながら、V9巨人の65年から73年までの日本シリーズ初戦の成績は7勝2敗なのです。ついでに言えば2戦目も6勝3敗です。頭から敵を叩きにいっていたのです。これは森西武も同じで、4勝3敗1分けと初戦に勝ち越しています。

 目を近年のプロ野球に転じましょう。かつての川上巨人や森西武のような絶対的な力を持つチームはありません。今季はシリーズ連覇を目指す原巨人の実力が、頭ひとつ抜けているように見えますが、それでも川上巨人や森西武ほどではありません。

 実力伯仲の戦いになれば、初戦をとって勢いに乗った方が、これまで以上に有利と言えるでしょう。それが証拠に、この20年間、シリーズの初戦をとったチームは15勝5敗と圧倒的に勝ち越しています。先手必勝の傾向は、ますます強くなっているようです。