Photo by Matthew Henry from Burst

あなたのカネと命を狙ってる「ブラック・ドクター」に出会ったら

あの医者には気を付けろ!
カネ儲けのためには患者の命を救うことは二の次。それが、ブラック企業ならぬブラック・ドクターだ。その実態はどんなものなのか。医者の使命は病気を治すこと──そう思っている人、必読です。

客集めがうまい

「どうして、夫は治療によって命を失わなければならなかったのでしょうか……」

澤田英次さん(仮名・40代)の妻は、夫を亡くした直後、こう言って声を震わせた。

英次さんは、長年、頸椎の変形によって生じる頸椎症に悩まされていた。首や肩の痛みは日々募っていたが、山積する仕事に追われてここまで放置してきた。そんな英次さんには、日帰りで手術できるというこのA医院の情報は、福音のように思われた。

さっそく予約を入れて受診した。MRIやレントゲンなどの検査のあと、治療についての説明を受けた。手術に要する時間は約30分だという。保険がきかないため1回の手術に100万円ほどかかるという点がきつかったが、術後すぐに仕事に復帰できるのなら惜しくはないかと納得した。

手術は説明どおりの短時間で終了し、英次さんはその日のうちに帰宅。ところがその後、体調に異変が現れる。高熱が何日も続き、仕事どころではなくなったのだ。これはおかしいと、再度A医師を受診した。

なぜこんなに高熱が続くのか尋ねたが、明確な答えはなかった。原因を調べるための血液検査すら行われず、痛み止めの注射を1本打って帰された。

注射後、容態はますます悪化。他の病院に緊急入院したが、すでにもう手遅れだった。徐々に体の神経は麻痺していく。

「どうしてこんなことになったんだ……!」

最期の声を振り絞り、英次さんは、そのまま息を引き取った。手術からわずか2週間。レーザー治療による感染症が原因であった。

「A医師はヘルニアなどのレーザー手術を手広くやっていて、業界ではよく知られた悪徳医師ですが、現在も変わらずに営業を続けています。治療の技術はあるのですが、失敗して訴訟になった患者も多数いる。そうした情報はインターネットではわからないから、広告を見て新しい患者が次々と訪れるのです。この医院は、ネット広告にもかなりの費用をかけているそうです」(医療関係者)

A医師のように高額の医療費を巻き上げ、患者を救うどころか、ときに命までも奪ってしまうような、まさに「ブラック・ドクター」とでも呼ぶべき医者が存在する。彼らは、患者の前では実直な「いい医者」を演じ上げ、決して素顔をのぞかせることはない。

そんな医療現場の状況に、強い危機感を抱いているのは、東京ハートセンター・センター長の南淵明宏医師だ。

「いま、日本の医療の質は年々低下の一途を辿っています。患者のために尽くす本物の医者がいる一方で、医者という立場を利用して、患者を金づるとしか見ておらず、食い物にして恥じない医者が少なからずいるのです」

冒頭の事件のようなケースで被害者が裁判にもちこんだとしても、死因や責任の所在を立証するには困難を極めることが多い。万が一、医療者側が裁判で負けたとしても、医師は医師賠償責任保険に入っているので、たとえば日本医師会の保険の場合、故意の過失でなければ最高1億円まで保険金が下りる。そのため、医者にとっては痛くもかゆくもない、というわけだ。

健康な人でも手術する

医療行為は密室で行われる。つまり患者は、真実を知りたくても知り得ないところで、無防備に命を担当医に丸投げしていることになる。運悪くブラック・ドクターに当たったが最後、英次さんのように最悪の結末を辿ってしまう。事実、こうした被害者は後を絶たないのだ。

今回は、そんな問題医師たちの実例を紹介していこう。