1カ月前のこのコラムで「好調な伸びが続いてきた百貨店の売上高に変調をきたし始めた可能性が出てきた」と書いた。
日本百貨店協会が8月20日に発表した全国百貨店の7月の売上高(店舗数調整後)が前年同月比で2・5%のマイナスになったからだ。6月が7.2%増という高い伸びだっただけに、7月以降、景気が腰折れしてしまうのかどうか、全国百貨店の8月の売上高が注目されていた。
では8月の売上高はどうなったか。
9月20日に日本百貨店協会が発表した統計によると、全体の売り上げ(店舗数調整後)は2.7%増と再びプラスに転じた。7月に9カ月ぶりにマイナスになった「身の回り品」が4.5%増と再びプラスになったほか、衣料品(1.9%増)、雑貨(8.5%増)、家庭用品(1.6%増)、食料品(0.1%増)、食堂・喫茶(4.1%増)など主要部門が軒並みプラスになった。
「身の回り品」は靴、アクセサリー、ハンドバッグ、財布、傘といった商品で、景気動向によって売れ行きが変わる商材。景気が良くなる時はまっ先に売れ始め、悪化する時はまっ先に売れなくなると言われる。
また、高額消費の代表格である「美術・宝飾・貴金属」も18.3%増と大きく伸びた。
伸び率は5月の23.3%増をピークに、6月は16.3%増、7月は14.2%増と、伸び率が鈍化していたが、8月は再び伸び率が前の月を上回った。
これらの数字を見る限り、7月の減少は6月が「売れ過ぎ」だった反動、あるいは一時的な減少で、消費は全体としては依然として強い、ということを示しているようだ。
前月のコラムには読者から様々意見をいただいたが、こんな指摘もあった。
衣料品の売り場担当者の話として、今年はバーゲンセールでの売り上げが好調で、6月にセールが始まった途端に売れてしまい、7月には売るモノがなくなっていた、というのだ。
目星を付けていた洋服をセール後半に買いに行ったら、もうどの店にも無かったという声を私自身も耳にした。
確かに統計数字でみても、6月の衣料品は全国ベースで10.5%増の高い伸びを示していた。猛烈な売れ行きだったことを数字は示している。7月の衣料品が全国で7.3%減ったのは「モノ」の供給が間に合わなかったから、という説もうなづけるというわけだ。