[ボクシング]
杉浦大介「カーン、ゴロフキン、それともパッキャオ?」

~メイウェザー、次戦の相手を予測する~
スポーツコミュニケーションズ

ミドル級進出は無謀なチャレンジか

 ゲンナジー・ゴロフキン
カザフスタン/WBA世界ミドル級王者/27戦27勝(24KO)

 ここまでガルシア、カーン、ブローナーと名前を挙げて来たが、実際にはスーパーライト~スーパーウェルター級でメイウェザー相手に現実的な勝機があると考えられる選手は皆無なのも事実である。だとすれば、最強王者がミドル級に進出する姿を見たいというのがファン心理だろう。

破壊的パンチャーのゴロフキンにミドル級で挑むことを決意すれば、”強敵を避けている”とのメイウェザーへの批判も鳴りやむだろう。

 特にアメリカ進出後は豪快KOを連発して新しいセンセーションを起こしたゴロフキン戦は、まさに垂涎の究極ファイト。これまで多くの強豪を撃破してきたメイウェザーにとっても、“キャリア最大の挑戦”となるに違いない。

 ただ、ホプキンス同様、これほど危険なファイトを慎重なメイウェザーが受け入れるとは少々考え難い。そして、メイウェザーにミドル級進出の意思があるかどうか以前に、ゴロフキンはメガケーブル局「HBO」との結びつきが強いことも障壁になる。

 メイウェザーが「HBO」のライバルである「Showtime」と6戦契約の最中にいること、上昇中のゴロフキンもアメリカ国内ではまだビッグネームと言えないことなどから、両サイドが歩み寄っての頂上決戦実現はまずあり得まい。同じ事情はこちらもHBO傘下のWBC、WBO統一ミドル級王者セルヒオ・マルチネスにも当てはまる。

 そんな状況下で、メイウェザーがミドル級進出を画策することがあるとすれば、標的は同じGBP傘下のWBO王者ピーター・クィリンになるのだろう。29戦全勝(21KO)のクィリンも粗さが目立つ選手ではあるだけに、メイウェザーが与し易しと考える可能性も僅かにあるかもしれない。

 いずれにしても、偉大なボクサーにはキャリア中に一度は無謀に近いチャレンジを敢行して欲しいもの。過去2戦のメイウェザーは完璧に近いボクシングで魅了しただけに、ここでミドル級進出のアドベンチャーに挑んでほしいと切望しているスポーツファンは多いに違いあるまい。