プロ野球特別読み物 あんなに弱かったのに
楽天を変身させた球団社長の告白「野球の素人だから、出来ることもある」

週刊現代 プロフィール

 彼が第一候補になったという連絡を受けたとき、たまたま私はアメリカにいました。そこで「だったら、これから会いにいこうか」と。もちろん星野監督と三木谷オーナーには事前に電話で打診しました。星野監督からは「大物すぎてうちには来ないよ」と言われましたが(笑)。

 それから実際にジョーンズに会い、彼の生い立ちから野球哲学まで、3~4時間じっくり話をしました。私は技術的なことは分かりませんし、彼が残してきた成績を数字としては知っていても、実際にどれほどすごいプレーヤーかも十分理解していませんでした。ですから、非常にざっくばらんに日本の野球の現状、われわれの考え方をぶつけました。彼も私の話に興味を持ってくれたのか、その日のうちに契約のサインをもらいました。

 さらにもう一人、右の長距離打者が必要でしたが、ジョーンズに来てもらう以上、彼とコミュニケーションを取りやすい選手がいい。そこでわれわれの手元にあるリストの中から誰がいいかと彼に直接聞いてみたんです。彼は「誰でもいい」と応じましたが、ヤンキース時代に一緒にプレー経験があるマギーならうってつけだろうと考え、次は彼に的を絞ったわけです。

 そうして獲得した2人が本当に活躍してくれています。これは嬉しいですね。

マー君を引き留めたい

 今季のチームの躍進を支えているのが、田中将大投手であることは誰の目にも明らかでしょう。

 その田中投手が来季、メジャーに行くのではないかと気を揉んでいるファンの方も多いと思います。昨年のオフ以降、この件に関して球団と田中選手との間でディスカッションしていないので、現時点で彼がどういう気持ちでいるのかは分かりません。

 ただ、私個人も球団も、これだけの投手を手放したくないという気持ちを非常に強く持っています。メジャー球団から高い移籍金を受け取れるじゃないかと思う方もいるでしょうが、いくら球団経営を黒字化しなくてはならないといっても、移籍金でカネを儲けるビジネスモデルでは成功しません。結果的に多額の移籍金を得るケースがあるにせよ、最初からそれを狙うようなことがあってはならない。

 将来を考えれば、自分のチームで育った選手が監督やコーチになっていくというのがベストです。これは私自身も強くそう思っています。田中選手のような生え抜きの存在は息の長いファンを作るためにも重要なんです。彼がどういう決断をするかは別問題ですが、われわれとしては、なんとしてでも田中選手には残っていただきたいと考えており、シーズン終了後にじっくり話し合う機会を持ちたいと思います。