プロ野球特別読み物 あんなに弱かったのに
楽天を変身させた球団社長の告白「野球の素人だから、出来ることもある」

週刊現代 プロフィール

外国人選手も自分で口説く

 その点、星野監督とは非常にいい連携が取れています。初めてお会いしたときは「闘将・星野監督に会ってもらった一ファン」という感じでしたが、こんなお話をさせていただいたこともあります。

「イニングの間に、野手がそれぞれの守備位置について、ボールを回しますが、ベースに足を付けていない選手を時々見かけます。実際はボールをキャッチしても、ベースから足が離れていたらアウトにできないのだから、練習とはいえ怠慢ではないでしょうか」

 どうやら星野監督は同意してくださったようで、それ以降、そういう選手はいなくなりました。

 だって、球場に来てくださるお客様は、グラウンドのすべてを見るためにおカネを払っているわけです。練習であっても手を抜くべきではありません。細かなことの積み重ねが大切だと思いますし、いまではそういう細かなことも含めて、星野監督とは毎日お話しさせていただいているし、メールも頻繁にやり取りしています。

 ただ、星野監督から「この選手を獲れ」と言われたことはありませんね。「どういうチーム作りをすれば強くなるか、優勝できるか」という話は、監督やコーチ陣と相談しますが、補強に関して具体的な選手名は出されない。

 今季、打撃の中心となって活躍している2人の助っ人外国人・ジョーンズ、マギーの獲得にしてもそうです。監督からの要望ではありませんでした。

 先ほども申し上げたように、われわれは選手の補強・スカウト・育成もデータに基づく精緻なものにしようとしています。そのために野球のデータを専門に分析している方をデータアナリストとして雇っています。

 企業秘密の部分もあるので、ざっくりとしかお話しできませんが、手順としては、まず昨シーズンの分析をし、チーム全体として数値的にどこが弱いかを明らかにします。そのうえで、「どういう選手を獲ると、どのくらいの打率とどのくらいの出塁率になるか、その結果どのくらいの得点力アップになり、どのくらい勝率が上がるか」というところまで計算して選手を獲りにいくのです。

 去年の例で言えば、うちは左ピッチャーにやられることが非常に多かった。左ピッチャーに対する打率と得点は、6球団の中で一番悪かったんです。

 そこで「右の長距離打者を2人獲ろう」という方針が固まります。そして補強選手の候補をリストアップしていく中で最初に名前が挙がったのがアンドリュー・ジョーンズ選手でした。