プロ野球特別読み物 あんなに弱かったのに
楽天を変身させた球団社長の告白「野球の素人だから、出来ることもある」

週刊現代 プロフィール

 大学時代に一流選手を目の当たりにして、社会人でやるのは断念しましたが、卒業後も外資系証券会社に勤める傍ら、上田昭夫監督率いる慶応ラグビー部のコーチを務めた時期があります。ちょうどラグビー部創立100周年にあたるころで学校自体がチーム強化に力を入れてくれ、大学選手権で優勝することもできた。この経験は、現在も選手の育成状況を見るときなどに役立っていますね。

なれ合いはやめよう

 社長を引き受けるにあたって、三木谷オーナーからは黒字化を至上命題として指示されています。初年度以外は赤字続きで、昨年も営業損益では9億5000万円ほどの赤字ですから、プレッシャーはありますよ。でも、アメリカではメジャー球団は黒字経営ができている。われわれも同じことができるということを見せたいし、球団を経営する以上、当然のことです。

 昨年8月に東北楽天ゴールデンイーグルスの球団社長に就任した立花陽三氏(42歳)。本人も語っているようにラグビーに明け暮れた学生時代を過ごし、慶応大学卒業後はソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックス、メリルリンチと外資系証券会社で活躍した。

 その立花氏は、社長就任から間もない昨シーズン終了後、野村克也名誉監督や田淵幸一コーチ、さらには5名のスカウトに契約満了を通告している。事実上のクビ宣告だ。これを、証券マン出身ならではのシビアさだと受け取る人も少なくない。やはり、あれも球団の黒字化に向けた経費削減が狙いだったのか。

 その件については、相手もある話なので、具体的な内容は控えさせてください。ただ言えることは、われわれはいま、選手や育成の状況、それに対するスカウトやコーチの評価といった情報を、球団全体で共有できるシステムを開発しているということ。

 プロ野球の世界は、意外にも結果責任について曖昧なところがある。たとえばスカウトなどはなかなか結果責任を追及されにくい。そこを変えていきます。

 具体的に言えば、スカウトが有望な高校生を調査するなかで、「この選手は高校止まり。プロでは通用しない」と評価したとします。でも、その選手が他球団に入団して大活躍したら、これはスカウトの判断が間違っていたということです。そこをはっきりさせるため、過去にスカウトが下した評価は、すべて記録として残していこうとしています。

 もちろん、そういうことを嫌がる方もいます。これまではかなり曖昧というか、グレーな部分が多かったわけですから。しかし、球団側の方針を呑めないという方とは、やはり一緒に仕事ができないと判断せざるを得ません。