原発停止で待ったなし! 高止まりするLNG価格引き下げのカギを握る経産省の思惑

取材・執筆:磯山友幸(経済ジャーナリスト)

福井県にある関西電力大飯原子力発電所の4号機が9月16日未明、定期検査のため稼働を停止した。1年2ヵ月前に野田佳彦内閣が再稼働に踏み切って以降、大飯原発だけが運転していたが、3号機が9月2日に定期検査で停止。4号機も止まったことで、国内で稼働している原子炉は再びゼロになった。

経済産業省は8月末に、原発の再稼働が遅れれば家庭の電気料金が今より25%上がるという試算を公表。原発再稼働に向けたムードづくりに躍起だが、原子力規制委員会の安全審査にも時間がかかっており、年内の再稼働は難しい情勢だ。

そうなると、電力会社は火力発電で電力需要を賄うことになるが、その際、最大の問題といえるのが、燃料費の増加をいかに抑えるかだ。中でも高止まりしているLNG(液化天然ガス)の価格をどう引き下げていくかが1つの焦点になっている。

「高すぎるLNGからの脱却」が課題

9月10日にある国際会議が東京都内で開かれた。LNGの生産国と消費国、関連する企業などが一堂に会する国際会議で、「LNG産消会議」と呼ばれる。昨年に引き続き2回目で、今回は消費国である韓国やインド、欧州諸国など、生産国であるカタールやオーストラリアなどが参加。約50の国・地域の政府や民間企業から1000人以上が集まった。

日本がこの会議を主催したきっかけは、ズバリ、LNGの調達価格の引き下げ。米国でのシェールガス革命の進展などによって、国際的な天然ガス価格は大きく下落しているが、アジアに需要が集中しているLNGは価格が高止まりしている。原発停止後のLNG輸入費の急増が貿易収支の大幅な赤字要因になっていることもあり、日本政府が消費国と連携することで、産出国に価格引き下げの圧力をかけていく戦略だ。

ちなみにLNGは日本が世界最大の輸入国で、世界全体の消費量の4割を日本で使っている。一方で、天然ガスを冷却して液化する特殊な工程が必要なため、産出側と消費側の長期契約が多く、しかも価格が原油価格連動となっていることから、価格が高止まりしている。

会議で挨拶した茂木敏充・経産相は、日本のLNGの輸入価格が100万BTU(英国熱量単位)当たり16.3ドルと米国の3.8ドルに比べて4倍強の価格差がある点を指摘。「液化や輸送のコストを加味しても突出して高い状況が続いている」と述べ、「高すぎるLNGからの脱却」が課題であることを強調していた。

そのうえで、国内外の複数の企業でLNGを大量購入することで、輸入価格の引き下げを狙う「共同調達」に関する共同研究会を設置、検討を開始する方針を表明した。

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