[サッカー]
田崎健太「里内猛が描く日本の未来図Vol.11」

~ジーコ、オシム、関塚を支えたフィジコ~
スポーツコミュニケーションズ

暑さ対策のグアムキャンプ

 シリア戦後は2月5日のマレーシア戦まで、期間が空くことになっていた。準備に余念がない関塚ジャパンは年が明けた12年1月、グアムでキャンプを行っている。そして、グアムキャンプ前に集まった11年12月の年内最終のミニ・キャンプで里内は選手たちに向かってこう話した。

「少なくともゲーム・コンディションを整えるためには、概ね1か月半はかかる。五輪に出場するためのアジア予選はJリーグのオフの期間にも行われる。みんなはこれからオフを迎えるが、2月5日のマレーシア戦に向けて、3週間で戦えるコンディションにしなければならない。そのためにもキャンプ初日からトップ・ギアでトレーニングできるように準備してきてほしい」

 またグアムをキャンプ地に選んだのは暑熱対策も踏まえてのものであった。2月5日にシリア、2月22日にマレーシアとのアウェー戦が連続している。暑い環境でオフ明けの準備を進めつつ、蒸し暑いマレーシア対策も練るというものであった。

 里内には苦い経験があった。04年3月末、ジーコが率いていた日本代表はW杯アジア1次予選でシンガポールとアウェーで対戦している。格下のシンガポールに対して、日本は苦戦し、3対2で辛勝した。早春の日本から蒸し暑いシンガポールに移動し、選手の身体が対応することができなかったのだ。

 試合の約1か月前に暑い環境で1週間程度馴化しておけば、身体は暑さに対しても順応しやすくなる。しかし――。日本はこのシリア戦で躓くことになる。

(つづく)

<田崎健太(たざき けんた)プロフィール>
 ノンフィクション作家。1968年3月13日京都市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退 社。著書に『cuba ユーウツな楽園』 (アミューズブックス)、『此処ではない何処かへ 広山望の挑戦』 (幻冬舎)、『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』 (講談社プラスα文庫)、『W杯ビジネス30年戦争』 (新潮社)、『楽天が巨人に勝つ日−スポーツビジネス下克上−』 (学研新書)、『W杯に群がる男たち—巨大サッカービジネスの闇—』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克 英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』 (講談社)。最新刊は『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)。早稲田大学講師として『スポーツジャーナリズム論』『実践スポー ツジャーナリズム演習』を担当。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。携帯サイト『二宮清純.com』にて「65億人のフットボール」を好評連載中 (毎月5日更新)。
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