辻秀一 第1回 「物語に見え隠れするスポーツの深層心理を紐解いた『スラムダンク勝利学』」

島地 勝彦 プロフィール

 この『スラムダンク勝利学』はわたしにとって生まれてはじめての本だったんです。

シマジ 本も運命的なところがあって、誰が編集するかによって大きく変わるからね。八坂と出会ったことは辻先生にとって運がよかったんだ。

 まったくその通りです。いまでも八坂さんには感謝しております。無名のわたしを一本釣りしてくださったんですから。

ヒノ まさに『スラムダンク勝利学』を出版されて勝利を勝ち取ったというわけですね。

立木 ヒノ、うまいこというじゃないの。

ヒノ 有り難うございます。この本のオビに書いてあるように「学生、社会人、すべてのルーキーたちに贈る伝説のバスケ漫画が教える勝利の方程式」を辻先生みずから実現されたわけですね。辻先生は著述家としてはまだルーキーだったんですよね?

 はい、処女作がこんなに売れるとは想像もしていませんでした。

ヒノ パラパラみているだけでも、よく編集されていると思います。デザインもいい。八坂さんはセンスのいい編集者だったんでしょうね。

シマジ ヒノ、どこか朗読してくれないか。そうすればどうして35万部のロングセラーになっているのか、読者にも理解できるだろう。

ヒノ わかりました。では第1章のリードの部分を朗読してみましょうか。

【第1章 根性は正しく使う】

『スラムダンク』は単にバスケットボールのマンガではありません。その中には我々スポーツ関係者が学ばなければならない貴重な考え方が、何気なくかつ数多く含まれているのです。その意味で、『スラムダンク』はきわめて奥が深く、バスケットボールを超えたスポーツ指導書、さらには人生の哲学書といっても過言ではありません。

しかし、何気なく展開されているため、そのメッセージをくみ取るのは大変です。そこで、数々のスポーツチームや選手をサポートする立場の私が、スポーツ心理学のエッセンスを少々交えて、読者の方々に広く、その貴重な「勝利するための考え方」、「学ぶべき考え方」をご紹介します。 

シマジ ロングセラーの名著というのは、どこの断片を読んでも何か訴えているものがあるものだね。

立木 それは自画自賛というものではないの。自分で発行しているくせにして。

シマジ いや、もうおれは発行人ではないし、この本自身が十分風雪に堪えてきたんじゃないだろうか。