辻秀一 第1回 「物語に見え隠れするスポーツの深層心理を紐解いた『スラムダンク勝利学』」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ まず辻先生にお訊きしますが、この『スラムダンク勝利学』はどのような経緯で上梓されたんですか?

 ほう、はじめからド直球できましたか。

シマジ 13年前のことですからわたしはすっかり忘れてしまったのです。

 わたしは若いころ慶應義塾大学医学部内科学教室で患者さんを診たりしていたんですが、アメリカに行ってスポーツ心理学を学んだところ、アメリカと日本ではスポーツの考えがまったくちがうことに気がついたんです。

日本はご存じの通り、根性一筋で、ビンタを喰らわせたりして勝負に勝つことだけを強制するんですが、アメリカはメンタルトレーニングを多くのアスリートがやっているんです。ちょうどわたしが36歳のときですかね、このメソッドを使って新しいことが出来ないものかと考えていたところ、井上雄彦先生の『スラムダンク』に出会ったんです。

井上先生に相談すると、「それはいいんじゃないですか」といわれまして、バスケットボールマガジンで毎月連載させてもらっていたんです。そこで約2年間連載したんですが、井上先生に集英社をご紹介いただき、編集者に会ったところ、その編集者が超タカビーなヤツでわたしと相性が悪く、結局、本にはなりませんでした。

そこへ集英社インターナショナルの八坂さんという編集者が訪ねてきて、是非うちでやらせてください、ということになり、2ヵ月くらいで本にしてくれました。

シマジ 辻ドクターはいま何歳になられたんですか?

 52歳になりました。

シマジ 52歳か。

 『スラムダンク勝利学』を世に出したのはわたしが39歳のときでした。たしかシマジさんとのちがいは20歳だと思います。

シマジ 八坂は優秀な編集者だった。いま何をしているんだろう。

立木 八坂か、懐かしいね。