[MLB]
杉浦大介「ヤンキース、“ミラクルラン”は実現するか」

スポーツコミュニケーションズ

強力打線復活も、投手陣に不安

 ロビンソン・カノ、ソリアーノ、ロドリゲス、グランダーソンが中軸を組み、ジーター、イチロー、ブレット・ガードナー、ライル・オーバーベイといった曲者が脇を固める打線の迫力は、3Aレベルの選手が名を連ねていたシーズン中盤までとは比べるべくもない。ヤンキースらしい粘り強さも戻りつつあり、特にそれが顕著だったのが9月3日のホワイトソックス戦だった。

 終盤まで1-4とリードされ、敗色濃厚だったこのゲーム。8回裏にジーター、カノ、ソリアーノ、ロドリゲス、グランダーソン、エドゥアルド・ヌネスの長短打で一挙に5点を奪い、大逆転で貴重な勝利を挙げた。

「今まででしたらこのままズルズル負けていたような流れでしたけど、こうやってチームが勝ってくれると自分のピッチングも報われる。今までにない流れ(の勝ち方)なんで、これで流れが変われば良いかなと思っています」
 先発した黒田博樹が試合後にそう目を細めた通り、“今季のベスト・ウィン”と呼んでも大げさには思えない鮮やかな勝ち方だった。

 終盤に勢いを得るチームというのは、劇的な勝ち星を生み出すもの。この日のどんでん返しを観て、逆襲への期待を改めて抱いたヤンキースファンは少なくなかったのではないか。

 もっともチーム全体を見れば、上り調子だからといって楽観視すべきだと言いたいわけではない。

最も安定している先発投手だった黒田の復調は追い上げに必須だ。Photo By Gemini Keez

 打線は復活を感じさせる一方で、投手陣は順風満帆とは言い難い。ここまで4勝13敗、防御率4.86と苦しむフィル・ヒューズがブルペン降格を言い渡され、大黒柱のはずのCCサバシアも自己最悪の防御率4.86と不調。エースとしてチームを支えてきた黒田も、8月17日以降の4試合で0勝3敗、防御率7.43と疲れ気味なのが気になる。肝心の投手力ではやはりワイルドカードを争うレイズが上に思えるだけに、追いつき、追い越していくのは容易な作業ではないだろう。

「スコアボードは目の前にあるのだから自然と目に入る。おかげで他のチームがどうしているかは常に認識できているものだ。もちろん目の前のゲームへの集中力が削がれるわけではないけど、見ないでいるのは難しいよ」

 ジラルディ監督もそう認めている通り、現時点ではプレーオフ圏外だからなおさら他チームの経過、結果も気にしなければならない。すぐ背後につけるオリオールズ、ロイヤルズもまだ侮れず、今後も息の抜けない日々が続くだろう。