二宮清純「日本野球近代化に貢献した2人の元メジャーリーガー」

二宮 清純 プロフィール

“考える野球”を伝えたブレイザー

 では、南海でプレーしたブレイザー(元カージナルス)は、この国のプロ野球が近代化を果たす上で、どんな貢献をしたのでしょう。一言で言えば、“考える野球”を伝えたことです。

 一例をあげましょう。野村さんによれば、ブレイザーが南海に入団する前はベースカバーのかたちが決まっていたそうです。二塁ベースに入るのは、ある球団ではセカンド、ある球団ではショートと固定されていました。

 しかし、考えてみれば、これほどナンセンスなことはありません。たとえば1死一塁でエンドランのサインが出た場合、二塁ベースに入るのがセカンドと分かっていれば、バッターは意図的に一、二塁間を狙います。

 あるいは、あらかじめショートが二塁ベースに入ると分かれば、バッターは三遊間を狙います。それでも、当時のプロ野球はそのことに気づかず、同じスタイルで守っていたそうです。

 今から考えれば信じられないような話ですが、それがブレイザーが来日する以前のプロ野球の現実でした。だから、野村さんは、こう言うのです。

「ブレイザーが来なかったら、日本の野球は相当遅れていた」
 今では“考える野球”といえば、野村ID野球が有名ですが、その原点はブレイザーの野球理論にあるのです。