この夏、東大生が世界の名門を迎え撃った。東大が初めてサマープログラムを開催し、そこにハーバード、オックスフォード、清華大等世界の名門から多くの学生たちが押しかけ、それを迎えた東大生も英語を駆使して大健闘したという。その内容をこのサマープログラムの仕掛け人の一人である、山崎繭加さんに聞いた。
---この夏、東京大学でサマープログラムが開かれたそうですね。概要を教えてください。
東京大学イノベーションサマープログラム(Todai Innovation Summer Program)という名前で、東大としては初めてのサマープログラムでした。海外から30名、東大生30名、計60名が集まり、東大駒場キャンパスで講義、その後岩手県の大槌町にフィールドトリップに行く、という2週間のプログラムです。全部英語です。
今の日本でしか学べない、学ぶことに価値があるテーマにしよう、ということで、「クールジャパン」と「東北復興」を二大テーマとしています。また教育方法としては、創造的な発想を促進することを目的とするワークショップ形式のプログラムを展開している「東京大学i.school」の手法と、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)を中心に世界のビジネススクールで広く使われているような、事例に基づく議論を通じて学ぶケースメソッドの二本立てとしました。
---海外からはどんな学生がどれくらい集まったのですか?
今回が初めての開催でしたし、東大で開催するということでどこまで応募があるのか、正直かなり不安でした。i.schoolの創設者で、今回のサマープログラムの旗ふり役でもあった東大工学部の堀井秀之先生が「海外から300名ぐらいは来るかな」とおっしゃっているのを、「そんなに来るはずないよ」と悲観的に眺めていたのですが・・・。
ところが、ふたを開けてみると、プログラムのコンテンツが魅力的だったのか、さらには芸大や気鋭の若手プログラマーチームが作ってくれたかっこいいウェブサイトのパワーも手伝ってか、なんと海外から840名もの応募があったんです。
これまで東大で何かプログラムを開催する場合、"Todai"ブランドが効くアジアからの応募はそれなりにあっても、いわゆる欧米名門校からはそれほど反応がなかったそうです。でも今回は、もちろんアジアからは爆発的な応募がありましたし、アメリカのアイビーリーグやイギリスのオックスフォード大学などからも相当数の応募がありました。そのことを学内で伝えたら、どよめきが起こったと聞いています。
選考を経て、最終的に参加した学生たちの出身校は、ハーバード大学、オックスフォード大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、デルフト工科大学、清華大学、香港大学、上海交通大学、台湾国立大学、インドネシア大学、フィリピン大学、南京工科大学などなど。世界広しと言えども、このレベルの学生が各国から一同に集まるプログラムはなかなかないのでは、というグループができました。