100件覆面調査!恐怖の老人ホームに入ってみた パンフレットはウソばかり入居してからでは手遅れです

週刊現代 プロフィール

 だが、考えてみてほしい。ただでさえ引っ越しは気力・体力を要する作業だ。まして70歳、80歳にもなって、入居した物件が気に入らないからと、そう簡単に住み替えはできない。入ったが最後、脱出は困難なのだ。

 しかも、業者は質の悪いサービスしか提供しなくても、生活支援費の名目できっちり儲けることができる。

 こんな状況ではトラブルの急増もうなずけるだろう。山崎氏はこう語る。

「100件覆面調査の結果は、想像以上に惨憺たるものでした。宣伝で謳っているような、入居者の自由で安心安全な生活を保障する生活支援サービスは、実際にはほとんど機能していなかったり、非常に質が悪いものだったりした。入居者の生活など実質ほったらかしと言っても過言ではない例も複数見受けられました。

 こうした高齢者向け住宅の建設には、国から建築費の10%の補助金と、向こう5年間の税制優遇措置があります。これを狙って、一部の不動産会社、建設会社など、介護に対する意識の低い業者が群がっている。そうした物件では、入居者は十分な生活支援も受けられないのに、月々のサービス料をぼったくられることになってしまう」

 実は、今回の調査で対象としたのは、いかにも怪しげな新型老人ホームではない。介護大手が展開する物件だ。教育や飲食など異業種で名を馳せた有名企業や、地域密着型の不動産開発業者、医療法人などが運営している、一見、真っ当そうな高齢者用の物件ばかりだ。

 だが、これらの業者でもパンフレットで謳っている内容と実際のサービスの間に大きな乖離がある。

 東京郊外の新型老人ホームで、ホームページでは「入居前のかかりつけ医を引き続き利用できます」としている物件では、こんなやりとりがあったという。

調査員「あの、母は慢性的に高血圧で、近所に以前からお世話になっているお医者さんがいるんですが」

職員「あー。でもね、うちにも提携している先生がいるんですよ。診療所もご近所ですからね。こちらの先生にかえていただくほうがいいと思うんですよ」

調査員「でも長いこと診ていただいているので……」

 渋ってみせると、職員の語気は、急に強くなった。

職員「でも、ご家族も遠くに住んでるんでしょう。休日や夜間に緊急事態が起こったら、どうなりますかね」

調査員「どうって、提携の診療所で診ていただくわけにはいかないんですか」