100件覆面調査!恐怖の老人ホームに入ってみた パンフレットはウソばかり入居してからでは手遅れです
公の特別養護老人ホームは42万人の入居待ち。私立の有料老人ホームは入居金が高すぎる。そんななか注目を集める新型老人ホーム。その内実は恐怖に満ちていた。調査結果を独占公開する。
死ぬかと思った
〈もしもし、どうしました?〉
「あ、あの……さっきから胸が苦しくて、こんなことは初めてなんですが、足腰も立たない状態で……」
〈わ、わかりました、提携医院の先生にも連絡してみますね。ちょっと待っててください!〉
ああ、助かった。発作が起きて5分。必死にすがりついた電話は、1階にある管理人事務室にすぐつながった。夜間に何かあってもすぐに医者が来てくれるという安心感。妻を亡くして5年。78歳の今年になって、息子が探してくれたこの高齢者向け住宅に入ってよかった—。しかし……。
【5分経過】おかしい。3階のこの部屋までは走れば2~3分で着くはずだ。なぜ、まだ誰も来ないのか。
【15分経過】……まだ胸に重苦しさはあるが、痛みはだいぶおさまってきた。だが、まだ誰も来ない。
【30分経過】〈ピンポーン〉
「失礼しまーす」
看護師ではなく、夜勤のヘルパーさんだった……。
「……ずいぶん時間、かかりましたね……」
「あらあら、まあ、大丈夫ですか。どうしましょう」
大丈夫じゃないから呼んだんだろうが……!
「あの……提携の病院には行けるんでしょうか」
「それが、先生がつかまらなくって。夜は診療時間外ですしね。まだ苦しかったら、救急車呼びましょうか」
「はあ、お願いします……」
とてもプロとは思えない狼狽ぶりの女性は、のろのろと119番に電話をする。