2013.08.27
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この国は壊れはじめている「千年猛暑」異常気象はまだまだ続く

週刊現代 プロフィール

 このような超高温が続く理由について、気象予報士の大野治夫氏は、今年はとくにいくつかの要因が重なったと語る。

「ひとつは太平洋高気圧が強いことです。そもそも、太平洋高気圧というのは熱帯付近で温められた空気が上昇して、日本の南に吹き降ろされてきたものです。

 しかし実は、日本付近に降りてくる空気は、熱帯の空気より熱くなっている。

 熱帯付近にある熱い空気は、海水が蒸発した水蒸気を多く含んでいます。この水蒸気が上空に昇るとき、潜熱と言って、周囲に熱を放出するからです」

 つまりこの現象によって、一口に言えば、この夏、日本近海には「熱帯より熱い空気」が平年より強く吹き付けていることになる。

「このほかには、日本付近の海水温が高いこと。九州南岸では、このところ海水温が30度以上の日が続いている。太平洋高気圧の風は九州あたりから四国・中国地方を通って、関東に入ってきます。

 さらには大陸からのチベット高気圧も日本の上空に張り出して、熱い空気を送り込んでいる」(大野氏)

1時間で20日分の雨が降る

 海水温の上昇は日本の食卓にも影響するとんでもない異常を引き起こしている。

 北海道白糠町では、普段は獲れないクロマグロが水揚げされ、漁師たちを驚かせた。一方、本来獲れるはずのサケの漁獲量は例年の3分の1。ほとんど利益がない状態だ。

 夏が旬の寿司ネタ、カンパチは養殖ものの値段が半年前の2倍に急騰。養殖の中心地・九州で海水温が高すぎるため魚が夏バテして餌を食べず、出荷できないことが一因だという。

 いったい、この暑さはいつまで続くのか。

「いまは2週間おきに高気圧が強まったり弱まったりしています。8月後半にかけて多少、暑さがやわらぐ時期があるでしょうが、9月になると再び高気圧が強まってきますから、また暑くなると思います。猛暑だった'10年も9月になってものすごく暑くなりましたが、今年もその可能性が十分にあるのです」(森田氏)

 極端な暑さも、ひと雨降ればしのげるだろう、というのがこれまでの常識だった。だがこの夏は、その雨すら私たちを脅かす凶器に変わっている。

 7月28日に山口、島根、8月9日には秋田、岩手で気象庁が「これまでに経験したことのないような大雨」と呼ぶ記録的豪雨を観測。秋田県仙北市では集落の裏山で土石流が発生、男女6人が犠牲となった。

 なかでも秋田県鹿角市では一日の間に293mmの雨が降ったが、これは平年の8月1ヵ月間の降水量(156mm)の約2倍にあたる。

 さらに、もっとも降雨の激しい時間帯には、1時間に108・5mmを記録。これは、わずか1時間で平年のおよそ20日分の雨が集中的に降った計算になる。

大都市は危険地帯になる

 東京でも、灼熱のスーパー地獄夜を経験した11日と12日の午後には、突然のゲリラ豪雨が発生。杉並区や武蔵野市の一部で住宅への浸水や道路の冠水などの被害が発生している。

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