経済の死角
2013年08月19日(月) 

中部電力が踏み出した、日本の新しいエネルギー産業創生に向けた第一歩

これに併せて、中部電力と三菱商事、日本製紙が三社共同で発電事業に乗り出すことも決めた。静岡県富士市の日本製紙富士工場敷地内に、10万kW級の石炭火力発電所を建設する。新たに発電事業会社を設立、三菱商事が70%、日本製紙が20%、中部電力が10%出資することで合意した。新会社が発電した電力をダイヤモンドパワーが引き受け、大口需要先に小売りするほか、新電電や大手電力会社へ卸売りする。

電力改革がもたらすエネルギー産業の地殻変動

安倍内閣は今年4月、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。地域ごとに独占を認めている現在の電力供給の仕組みを見直し、家庭ごとに電力会社を選択できるようにするなど、3段階にわけで改革を進める方針を示した。

まず2015年をメドに「広域系統運用機関」を新設。地域を越えて足りない電力を融通しやすくする。2016年をメドに新しい発電会社が家庭向けに電力を販売することを認め、企業向けから家庭向けまですべての電力販売を自由化する。さらに既存の電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」にも踏み込み、2018年~2020年をメドに実現を目指す。これに向けて、改正電気事業法案が次の臨時国会に提出される見通しだ。

第一段として広域系統運用機関が設置されると、これまで以上に大手電力会社間の電力融通が拡大すると見られる。中部電力は今回の体制を敷くことで、グループの新電力を通じて弾力的に他電力への電力販売を行える体制が整う。また、現在の特定規模電気事業者には家庭向けなど小口電力の小売りは認められていないが、2016年以降に自由化されれば、一気に電力市場の構図が変わる可能性がある。

特に、東京電力が供給エリアとする関東地方は一大電力消費地だが、福島第一原子力発電所事故の影響で東京電力の原発再稼働は厳しい状況が続いており、東京電力の電力供給力に懸念が生じている。逆に言えば、他の大手電力や新電力にとっては事業の拡大余地が大きい魅力的な市場ということになる。

中部電力は保有する原発が停止中の浜岡原発だけで、発電量に占める原発の依存度がもともと低い。そのうえ、域内電力需要を上回る発電能力を持っており、域外への売電余力も大きかった。最新鋭の高効率石炭火力発電所を新設、16年春に稼働させることで、競争力の高い電力販売価格が実現できるとみている。また、今後想定される原発の廃炉コストなどの負担が他の大手電力よりも小さくなると見られるため、本格的な電力供給競争が始まれば中部電力が優位に立てるという見方も出ている。

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