『スティーブ・ジョブズ』著者:ヤマザキマリさんインタビュー
「彼は嫌な奴であり、天才であり、ひと言では言い表せない男です!」

---先生はこの作品を描く時、どんな部分におもしろさを感じていますか?

人の内面を描くのが好きなので、知られざるへんちくりんな部分が出てくれば出てくるほど書き応えがあるし、筆が進みます(笑)。

あとは、原作で「彼は悩んだ。そして次の日~」と書かれている一文を解体していく時がおもしろいですね。単に悩んだといってもいろんなパターンがあるじゃないですか。ずっと部屋にいたのか、外に飛び出したのか、人に八つ当たりしたのか。

私は漫画家で想像力の旺盛な人間なので、悩んだジョブズを1コマで終わらせることはできないんですよ。原作者のアイザックソンもそこは言及していないので、絵を描く人間の役割だと思って、自由に想像して描いています。

---作品作りで、意識されているのはどんなことでしょう?

ジョブズが気に入ってくれるような漫画を描きたかったんですよ。"シンプル"ということが彼の中で哲学だったのかなと私は感じるので、あまり描き込まず、筆ペンで陰影は省いたタッチにしています。なんとなく変なものを描くと、あの世に行ってから怒られそうで(笑)。

---では最後に、読者へメッセージをお願いします。

この作品の魅力は、ジョブズそのものなんです。彼は嫌な奴であり、天才であり、被写体としても最高で、ひと言では言い表せない男です! 本当は良い奴なんだと思った瞬間、次のページで裏切られる。でも、型の外に出てこそ、おもしろい発見があるんだと感じます。

ぜひ『スティーブ・ジョブズ』を読んで、変人に対する寛容性を身につけていただければと思います。かといって、世の中の人がすべて変人になったら困りますけどね(笑)。

文/ 横前さやか
写真/ 講談社写真部

<著者プロフィール>
17歳で画家を目指してフィレンツェに留学。1996年mimi&Kiss新人漫画賞にてデビュー。その後、中東、イタリア、ポルトガルを経てアメリカのシカゴへ。そして、現在再びイタリアへ転居。取材その他で世界中をめぐる生活をしている。代表作は社会現象にもなった『テルマエ・ロマエ』、自身の体験を描いた『モーレツ!イタリア家族』や『ルミとマヤとその周辺』など。また、現在Kissにて連載中の『スティーブ・ジョブズ』(原作:ウォルター・アイザックソン)は第1話発表時の試し読みが世界中で7万以上読まれた話題作である。

著者: ヤマザキマリ
原作: ウォルター・アイザックソン
スティーブ・ジョブズ(1)
(講談社、税込み650円)
世界的なベストセラー『スティーブ・ジョブズ』を、『テルマエ・ロマエ』で一躍脚光を浴びたヤマザキマリ氏が漫画化!!

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